【第1章完】ゲートバスターズー北陸戦線ー

阿弥陀乃トンマージ

文字の大きさ
39 / 50
第1章

第10話(2)敦賀湾付近にて

しおりを挟む
「……隊長、見ねえな?」

「会議に出かけています」

 蘭の問いに花が答える。

「聞いてねえぞ?」

「聞いてないからです」

「あん?」

「ちゃんとおっしゃっていました。貴女がきちんと聞いていないからです」

「ちっ……」

 蘭が舌打ちする。竜が話題を変えようとする。

「い、一体どこに行ったんだろうね?」

「それも秘密だそうよ」

「ふ、ふ~ん……」

「会議なんて今時リモートでも充分だろうに」

「対面を要するほど重要なものなのでしょう」

 蘭の言葉に花が応える。

「重要ねえ……」

 蘭が顎をさする。

「……」

 陸人が部屋の片隅で端末をじっと眺める。

「……陸人くん、さっきから何を見ているの?」

 花が歩み寄って尋ねる。

「え? い、いや、なんでもないよ!」

 陸人が端末を慌てて隠す。

「なんで隠すのよ……?」

「エロい動画でも見てたんじゃねえのか?」

 蘭が笑う。

「み、見てないですよ!」

「陸人くん……」

「み、見てないって!」

 睨んでくる花に陸人は否定する。

「陸人くん、ぼくの端末で課金は止めてくれよ!」

「だ、だからそういうのは見てないって!」

 陸人が竜に対して声を上げる。蘭が苦笑する。

「いくら待機中でヒマを持て余しているからってよ……」

「い、いや、そういうのは普通自室で一人の時見るでしょ⁉ あ……」

 陸人が「しまった」というように口元を抑える。

「……やましいことが無いなら見せなさい」

 花が目を細めながら端末を要求する。

「はい……」

 陸人が端末を差し出す。花がそれに表示されている画面を見る。

「これは……」

「変な動画じゃないでしょう?」

「何故これを?」

「隊長に言われて……」

「隊長に?」

 花が首を傾げる。

「うん、イメージを膨らませておけって……」

「イメージを?」

「恐らくぶっつけ本番になるだろうからってさ……!」

 陸人たちのアラームが鳴る。部屋に三丸が入ってくる。

「今戻った……」

「隊長!」

「……知っての通り、福井基地の他の隊はみんな出張っている。今動けるのはこの隊だけだ。出動するぞ!」

「了解!」

 三丸の号令で陸人たちが出動する。

「……さて、敦賀湾に来たが……あれがゲートか」

 現場に到着した三丸がゲートの存在を確認する。

「まもなくイレギュラーが出現します!」

 通信が入る。その言葉通り、大型トカゲのような影が出てくる。三丸が目を細める。

「あれは……」

「パターン青、巨獣です!」

「確認した。討伐に当たる……!」

 通信に応えた三丸が陸人たちの方に向き直る。

「隊長、あれは……!」

 花が指を差す。

「ああ、黒部ダムで見かけたやつと同種のやつだろう」

「ということは……⁉」

「そういう事態もあり得るな……とにかく今は連中の討伐だ。宇田川竜隊員、分析を急げ」

「は、はい! 数が多いですが、動きはそれほど速くありません! 一体ずつ確実に討伐していくべきかと!」

「うむ……志波田隊員、氷刃隊員!」

「はっ!」

「は、はい!」

「氷刃隊員が銃撃で足止めを! 止まったやつから志波田が順に叩け!」

「りょ、了解しました!」

 陸人が正確な射撃で大型トカゲの影の動きを次々と止める。

「よっしゃあ!」

 蘭が飛び込み、金棒を振るって、影をどんどんと叩いて霧消させる。

「よし、いいぞ!」

「新たにゲート開放反応確認!」

「む!」

「やはり……」

 付近に二つのゲートが開き、バイクの影と火の玉の影が現れる。

「パターン黄、悪機です!」

「パターン赤、妖魔です!」

「数が多い!」

 花が声を上げる。

「落ち着いて対応しろ!」

「そ、それにしても!」

「こ、この数は……」

「大型トカゲの影も増えてきています!」

 三丸の指示に花と陸人と竜が戸惑う。

「……大丈夫だ、手は打ってある」

「え?」

「現着しました……」

「来たよ~」

「ふむ……」

「‼」

 陸人たちが視線を向けると、深海率いる富山隊と夜塚率いる石川隊が駆け付けていた。

「は、速い⁉」

「臨時の合同訓練を呼び掛けておいたのが功を奏したな……」

 驚く竜の横で、三丸が満足気に頷く。

「へへっ! こいつは盛り上がってきたな!」

「三丸隊長! 号令を!」

 蘭が笑い、花は指示を仰ぐ。

「ああ、三隊合同任務だ!」

 三丸が声を上げる。石川隊、富山隊、福井隊の三隊、再びの揃い踏みである。
しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

熟女愛好家ユウスケの青春(熟女漁り)

MisakiNonagase
現代文学
高校まで勉強一筋で大学デビューをしたユウスケは家庭教師の教え子の母親と不倫交際するが、彼にとって彼女とが初の男女交際。そこでユウスケは自分が熟女好きだと自覚する。それからユウスケは戦略と実戦を重ねて、清潔感と聞き上手を武器にたくさんの熟女と付き合うことになるストーリーです。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

サイレント・サブマリン ―虚構の海―

来栖とむ
SF
彼女が追った真実は、国家が仕組んだ最大の嘘だった。 科学技術雑誌の記者・前田香里奈は、謎の科学者失踪事件を追っていた。 電磁推進システムの研究者・水嶋総。彼の技術は、完全無音で航行できる革命的な潜水艦を可能にする。 小与島の秘密施設、広島の地下工事、呉の巨大な格納庫—— 断片的な情報を繋ぎ合わせ、前田は確信する。 「日本政府は、秘密裏に新型潜水艦を開発している」 しかし、その真実を暴こうとする前田に、次々と圧力がかかる。 謎の男・安藤。突然現れた協力者・森川。 彼らは敵か、味方か—— そして8月の夜、前田は目撃する。 海に下ろされる巨大な「何か」を。 記者が追った真実は、国家が仕組んだ壮大な虚構だった。 疑念こそが武器となり、嘘が現実を変える—— これは、情報戦の時代に問う、現代SF政治サスペンス。 【全17話完結】

【もうダメだ!】貧乏大学生、絶望から一気に成り上がる〜もし、無属性でFランクの俺が異文明の魔道兵器を担いでダンジョンに潜ったら〜

KEINO
ファンタジー
貧乏大学生の探索者はダンジョンに潜り、全てを覆す。 ~あらすじ~ 世界に突如出現した異次元空間「ダンジョン」。 そこから産出される魔石は人類に無限のエネルギーをもたらし、アーティファクトは魔法の力を授けた。 しかし、その恩恵は平等ではなかった。 富と力はダンジョン利権を牛耳る企業と、「属性適性」という特別な才能を持つ「選ばれし者」たちに独占され、世界は新たな格差社会へと変貌していた。 そんな歪んだ現代日本で、及川翔は「無属性」という最底辺の烙印を押された青年だった。 彼には魔法の才能も、富も、未来への希望もない。 あるのは、両親を失った二年前のダンジョン氾濫で、原因不明の昏睡状態に陥った最愛の妹、美咲を救うという、ただ一つの願いだけだった。 妹を治すため、彼は最先端の「魔力生体学」を学ぶが、学費と治療費という冷酷な現実が彼の行く手を阻む。 希望と絶望の狭間で、翔に残された道はただ一つ――危険なダンジョンに潜り、泥臭く魔石を稼ぐこと。 英雄とも呼べるようなSランク探索者が脚光を浴びる華やかな世界とは裏腹に、翔は今日も一人、薄暗いダンジョンの奥へと足を踏み入れる。 これは、神に選ばれなかった「持たざる者」が、絶望的な現実にもがきながら、たった一つの希望を掴むために抗い、やがて世界の真実と向き合う、戦いの物語。 彼の「無属性」の力が、世界を揺るがす光となることを、彼はまだ知らない。 テンプレのダンジョン物を書いてみたくなり、手を出しました。 SF味が増してくるのは結構先の予定です。 スローペースですが、しっかりと世界観を楽しんでもらえる作品になってると思います。 良かったら読んでください!

甲斐ノ副将、八幡原ニテ散……ラズ

朽縄咲良
歴史・時代
【第8回歴史時代小説大賞奨励賞受賞作品】  戦国の雄武田信玄の次弟にして、“稀代の副将”として、同時代の戦国武将たちはもちろん、後代の歴史家の間でも評価の高い武将、武田典厩信繁。  永禄四年、武田信玄と強敵上杉輝虎とが雌雄を決する“第四次川中島合戦”に於いて討ち死にするはずだった彼は、家臣の必死の奮闘により、その命を拾う。  信繁の生存によって、甲斐武田家と日本が辿るべき歴史の流れは徐々にずれてゆく――。  この作品は、武田信繁というひとりの武将の生存によって、史実とは異なっていく戦国時代を書いた、大河if戦記である。 *ノベルアッププラス・小説家になろうにも、同内容の作品を掲載しております(一部差異あり)。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

転生先はご近所さん?

フロイライン
ファンタジー
大学受験に失敗し、カノジョにフラれた俺は、ある事故に巻き込まれて死んでしまうが… そんな俺に同情した神様が俺を転生させ、やり直すチャンスをくれた。 でも、並行世界で人々を救うつもりだった俺が転生した先は、近所に住む新婚の伊藤さんだった。

処理中です...