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第1章

第8話(2)大事な反省会

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「あ~それじゃあ、反省会を始めようか……」

 彩が五人に語りかける。傍らには真白も座っている。

「反省会か……」

 凛が呟く。

「え~先日、実質的には初めての五人揃っての戦闘だったわけやが……」

「ふむ……そういえば、ボクの時は、ボクは途中参加だったね」

 秀が頷く。

「せや。出動からなにから揃ったんは初めてや」

「そういえばそうなるか……」

 輝が腕を組んで頷く。

「まず、現着までそこまで時間を要さなかったのはええことやな」

「現着?」

 凛が首を傾げる。

「現場到着ってことや」

「ああ……」

「そこからのテーマ曲への流れも絶妙やったな」

「そ、そこも振り返るんですか⁉」

 輝が戸惑う。

「いやいや、大事なことやろ」

「そ、そうですか……?」

「皆の考えてくれた歌詞を半ば勝手にアレンジしてもうたけど……」

「そういえば変わっていたね……」

「びっくりしたよ~」

 秀の呟きに凛が反応する。

「いや……どうしてなかなかええんとちゃいますか?」

 躍が呟く。

「そうか?」

「ええ」

「皆の名前が歌詞に盛り込んであるのがエモいどすな~」

 心が微笑む。

「あそこ、結構テンション上がるよな~」

 躍が笑顔で同意する。

「ただ……あくまで仮の歌入れですよね? レコーディングは別に行いますよね? あれが公式になるのは、正直不本意どす。曲にするなら2番も欲しいところですし……」

「テーマソングに随分と前のめりだな!」

 輝が突っ込みを入れる。

「レ、レコーディングなどに関してはおいおい……その後の変身してからの口上とポージングもなかなか良かったで」

「……初めてにしてはですよね?」

「……まあな」

 秀の問いに彩が頷く。

「ボクらならもっと良くなるはずだ、その点を重点的に訓練していこう」

「重点的にってどれくらいや? 戦闘訓練もせなアカンやろうし……」

 躍が秀に尋ねる。

「7;3くらいの割合かな」

「まあ、妥当な割合か」

「妥当か?」

 輝が首を傾げる。

「口上に備えての発声練習と、ポージングの練習が7だ」

「いや、そっちが7かい⁉ 多すぎるやろ……」

「そもそもそれは戦闘訓練の合間で充分だろう……」

 躍と輝が呟く。

「その線でスケジュールを組んでいこうか」

「お願いします」

 秀が彩に頭を下げる。

「組んでもうた⁉」

「根本から間違っている!」

 躍と輝が声を上げる。

「それで戦闘なんやけども……高所に陣取ったのはええ判断やったな。あれで相手に対して、優位性を取ることが出来た」

「その辺は秀さんの判断どす~」

「そうか、さすがやな、グレー」

「いえ、それほどでも……」

 秀が首を左右に振る。

「ただ! その優位性をむざむざ捨てた奴らがおる!」

「~♪」

「~~♪」

「下手な口笛を吹いて誤魔化すな! お前らや、シアン、ブラウン!」

「そ、そうは言っても……ねえ、躍ちゃん?」

「ウチらはほら、スキンシップを大事にするタイプやから……」

「相手とスキンシップを取るな!」

 彩が声を上げる。

「せやかて司令官!」

「……まあ、言いたいことは分かる。お前ら二人は近接戦闘がメインやからな、どうしたってああいう戦闘スタイルになるのは、ある程度はやむを得えへん……」

「そ、そうでしょう⁉」

「それにしてもや。グレーの指示を仰いでから動くとか、オレンジやパープルに援護射撃や攻撃なりしてもらってから突っ込めや。闇雲に進んでもしゃあないで」

「む、むう……」

「分かったか?」

「は、はい、分かりました……」

 凛と躍が揃って頷く。

「連携面については磨いていかないといかんな。状況に応じての戦い方もや。まあ、個々で見れば、それなりにようやっとったとは言える……」

「あの幹部怪人と言うのは……?」

「ごっつえらい怪人や」

「い、いや、それはなんとなく分かりますが……」

 彩の答えに輝が戸惑う。

「まあ、普通の怪人とはレベルがちょっと違う怪人と認識しておけばええ」

「そ、そうですか……」

「こちらの攻撃がほとんど効いておりまへんどした……」

 心が思い出すように呟く。

「なにか対策は……?」

「その為の合体攻撃です」

 秀の問いに真白が答える。

「巨大化した場合は合体ロボで臨むと……」

「そういうことです」

 秀の言葉に真白が頷く。

「今後もあのようにぶっつけ本番の連続では困ります!」

 輝が若干苛立ち気味に声を上げる。彩が右手を掲げて、それを落ち着かせる。

「その為のトレーニングや……今後はよりハードなものになるで? 覚悟しとけよ?」

「今後はって、今までやっとらんやん……」

 躍が小声で呟く。凛が両の拳を握り、目をキラキラとさせる。

「ハ、ハードトレーニング……わくわく」

「わくわくって声に出すやつ、久々に見たな……格ゲーマーの血が騒いだんか?」

「ハードトレーニングを課す為に頼れる知人を呼んだ! 入ってきいや!」

「⁉」

 彩が入り口を指し示す。五人は驚きながら、そちらに視線を向ける。
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