【第1章完】セブンでイレブン‼~現代に転移した魔王、サッカーで世界制覇を目指す~

阿弥陀乃トンマージ

文字の大きさ
33 / 50
第1章

第8話(4)対FCアキバ戦

しおりを挟む
「……さて、この試合に勝てば、いよいよ決勝よ」

「それは良いんだけど……」

「ん? どうかした、フォーちゃん?」

「相も変わらずスカウティングが機能していないわね……」

「ええ、だってしょうがないじゃない、私も色々忙しいのよ。大体、フォーちゃんが担当することじゃないの?」

 ななみが唇を尖らす。

「アタシだって忙しいわよ。練習を見なきゃいけないし」

「でもフォーちゃんなら箒に乗って空から偵察出来るじゃない」

「そこまで魔力が回復していないわ。それにそんなことをしたら、目立ってしょうがないじゃないの」

「じゃあ透明になるとか?」

「あのね……」

「あっ、千里眼とか!」

「はあ……」

 フォーがため息をつく。ななみが首を捻る。

「なによ?」

「アンタ、超能力者かなにかと勘違いしていない?」

「違うの?」

「魔法だって万能じゃないのよ。もっとも元の世界みたいに魔力が戻れば多少なりとも話は変わってくるけど」

「それでも、今は難しいと」

「そうね」

 フォーが頷く。ななみが両手で後頭部を抱えながら呟く。

「なんだ、つまんないの~」

「つ、つまんないって、アンタねえ……まあいいわ、とにかく」

「え?」

「とにかくスカウティング部門の早急な充実を要望するわ」

「う~ん、この大会に勝ったらね」

「大会が終わってからじゃ遅いのよ!」

「とは言ってもね~」

 ななみが苦笑する。

「せめて決勝くらいはどうにかしなさいよ」

「まあ、それよりもまず、今日の試合でしょう……」

「そうね、結局話はそこに戻るのだけど……どういうこと?」

「ん?」

 ななみが首を傾げる。

「ん? じゃないわよ! なによ、あのマッチョの集団は!?」

 フォーが相手チームをビシッと指差す。そこにはボディビルダーと見紛うような見事な肉体をした選手たちがズラリと並んでいる。

「『FCアキバ』というチーム名からはちょっと想像がつかなかったわね……」

「気が付かなかったの!? あんなムキムキの連中に!」

「……ここまでの試合ではずっと控えのメンバーだったから……」

「それにしてもよ!」

「ほら、ベンチではコートとか羽織っているじゃない。着痩せするタイプみたいね~」

「なにを呑気な!」

「まあまあ、そんなにムキムキしないで……」

「まったく……」

 フォーが頭を軽く抑える。

「試合が始まるわ」

「!」

「レイブンが押し倒された!?」

「……今日は魔力の調子が良くないとはいえ、あの魔王を押し倒すとは……大したフィジカルね。少なくともあの筋肉、見かけ倒しじゃないってことね」

 フォーが感心する。試合はフィジカルの平均値で勝るFCアキバが競り合いを中心とした肉弾戦に持ち込み、アウゲンブリック船橋を徐々に圧倒していく。

「あ!」

 アキバの選手のシュートがゴールネットを揺らす。

「よく耐えていたけど、ついに均衡が崩れちゃったわね……」

「どうするの⁉」

「とりあえず前半はこのまま耐えるわ」

 ななみの問いにフォーは冷静に答える。

「ピィー!」

「あ、前半終了……」

「一点差なら上出来だわ」

 フォーが満足そうに頷く。ななみが尋ねる。

「大丈夫なの?」

「さあ?」

 フォーが両手を広げる。ななみが慌てる。

「ちょっ、ちょっと⁉」

「勝負事なんてどう転がるか分からないんだからもう少し余裕を持って構えていなさいよ」

「……神頼みってこと?」

「魔女が神に祈るわけないでしょう……」

 フォーが苦笑する。

「……」

「なによ?」

「前回良い監督かも?って言ったから調子に乗ってない?」

「……アンタはずっと調子に乗っているわよね、場所が場所なら、皆がアタシに恐れおののくのよ? それをアンタは……」

「……おい」

 レイブンが声をかける。フォーがハッとする。

「ああ、ごめんなさい。後半の策を伝えるわ……」

 ハーフタイムが終わり、後半が始まる。そして……。

「試合終了!」

「よっしゃ! ハットトリックっす!」

「同じくだにゃ~」

「か、勝った……6対1の逆転勝利……」

 ななみが喜ぶルトとトッケを呆然と見つめる。フォーが胸を張る。

「まあ、ざっとこんなもんよ」

「前の試合みたいにクーオちゃんたちを前線に上げるかと……」

「それは対策されている恐れがあったからね。それになにも馬鹿正直に同じ土俵に上がることはないわ」

「レイブンのポジションを下げたのが上手くいったわね……」

「あれで相手の守備に迷いが生まれたわ。それによって生じたスペースを……」

「トッケちゃんとルトちゃんのスピードで突くと……」

「そういうこと、あの速さにはなかなか着いていけないわよね~」

 フォーが笑みを浮かべる。

「これで……」

「ええ……」

「決勝戦!」

「そうよ!」

「絶対に負けられないなんとやらね!」

「なんとやらって!」

「アハハ……」

「ウフフ……」

 ななみとフォーが見つめ合って笑い合う。

「ワ、ワシだけここ数試合ほとんど良いところなし……!」

 レイブンが己のパフォーマンスに愕然とする。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私 とうとうキレてしまいました なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが 飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした…… スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます

五十一歳、森の中で家族を作る ~異世界で始める職人ライフ~

よっしぃ
ファンタジー
【ホットランキング1位達成!皆さまのおかげです】 多くの応援、本当にありがとうございます! 職人一筋、五十一歳――現場に出て働き続けた工務店の親方・昭雄(アキオ)は、作業中の地震に巻き込まれ、目覚めたらそこは見知らぬ森の中だった。 持ち物は、現場仕事で鍛えた知恵と経験、そして人や自然を不思議と「調和」させる力だけ。 偶然助けたのは、戦火に追われた五人の子供たち。 「この子たちを見捨てられるか」――そうして始まった、ゼロからの異世界スローライフ。 草木で屋根を組み、石でかまどを作り、土器を焼く。やがて薬師のエルフや、獣人の少女、訳ありの元王女たちも仲間に加わり、アキオの暮らしは「町」と呼べるほどに広がっていく。 頼れる父であり、愛される夫であり、誰かのために動ける男―― 年齢なんて関係ない。 五十路の職人が“家族”と共に未来を切り拓く、愛と癒しの異世界共同体ファンタジー!

ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?

音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。 役に立たないから出ていけ? わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます! さようなら! 5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

勇者召喚の余り物ですが、メイド型アンドロイド軍団で冒険者始めます

水江タカシ
ファンタジー
28歳独身、一般事務の会社員である俺は、勇者召喚に巻き込まれて異世界へと転移した。 勇者、聖女、剣聖―― 華やかな肩書きを持つ者たちがもてはやされる中、俺に与えられたのは聞いたこともないスキルだった。 【戦術構築サポートAI】 【アンドロイド工廠】 【兵器保管庫】 【兵站生成モジュール】 【拠点構築システム】 【個体強化カスタマイズ】 王は落胆し、貴族は嘲笑い、俺は“役立たず”として王都から追放される。 だが―― この世界には存在しないはずの“機械兵器”を、俺は召喚できた。 最初に召喚したのは、クールな軍人タイプのメイド型戦闘アンドロイド。 識別番号で呼ばれる彼女に、俺は名前を与えた。 「今日からお前はレイナだ」 これは、勇者ではない男が、 メイド型アンドロイド軍団と共に冒険者として成り上がっていく物語。 屋敷を手に入れ、土地を拠点化し、戦力を増強しながら、 趣味全開で異世界を生きていく。 魔王とはいずれ戦うことになるだろう。 だが今は―― まずは冒険者登録からだ。

異世界で大往生した私、現代日本に帰還して中学生からやり直す。~最強の補助魔法で、冴えないおっさんと最強美女を操って大金持ちになります~

タカノ
ファンタジー
異世界へ転移し、聖女として崇められ、愛する家族に囲まれて88歳で大往生した……はずだった。 目が覚めると、そこは現代日本。 孤児の中学2年生、小金沢ヒナ(14)に戻っていた。 時間は1秒も進んでおらず、待っていたのは明日のご飯にも困る極貧生活。 けれど、ヒナの中身は酸いも甘いも噛み分けたおばあちゃん(88歳)のまま! 「もう一度、あの豊かで安らかな老後(スローライフ)を手に入れてみせる!」 ヒナは決意する。異世界で極めた国宝級の【補助魔法】と【回復魔法】をフル活用して、現代社会で大金を稼ぐことを。 ただし、魔法は自分自身には使えないし、中学生が目立つと色々面倒くさい。 そこでヒナがビジネスパートナー(手駒)に選んだのは―― 公園で絶望していた「リストラされた冴えないおっさん」と、 借金取りに追われる「ワケあり最強美女」!? おっさんを裏から魔法で強化して『カリスマ社長』に仕立て上げ、 美女をフルバフで『人間兵器』に変えてトラブルを物理的に粉砕。 表向きはニコニコ笑う美少女中学生、裏では彼らを操るフィクサー。 「さあ善さん、リオちゃん。稼ぎますよ。すべては私の平穏な老後のために!」 精神年齢おばあちゃんの少女が、金と魔法と年の功で無双する、痛快マネー・コメディ開幕!

田舎農家の俺、拾ったトカゲが『始祖竜』だった件〜女神がくれたスキル【絶対飼育】で育てたら、魔王がコスメ欲しさに竜王が胃薬借りに通い詰めだした

月神世一
ファンタジー
​「くそっ、魔王はまたトカゲの抜け殻を美容液にしようとしてるし、女神は酒のつまみばかり要求してくる! 俺はただ静かに農業がしたいだけなのに!」 ​ ​ブラック企業で過労死した日本人、カイト。 彼の願いはただ一つ、「誰にも邪魔されない静かな場所で農業をすること」。 ​女神ルチアナからチートスキル【絶対飼育】を貰い、異世界マンルシア大陸の辺境で念願の農場を開いたカイトだったが、ある日、庭から虹色の卵を発掘してしまう。 ​孵化したのは、可愛らしいトカゲ……ではなく、神話の時代に世界を滅亡させた『始祖竜』の幼体だった! ​しかし、カイトはスキル【絶対飼育】のおかげで、その破壊神を「ポチ」と名付けたペットとして完璧に飼い慣らしてしまう。 ​ポチのくしゃみ一発で、敵の軍勢は老衰で塵に!? ​ポチの抜け殻は、魔王が喉から手が出るほど欲しがる究極の美容成分に!? ​世界を滅ぼすほどの力を持つポチと、その魔素を浴びて育った規格外の農作物を求め、理知的で美人の魔王、疲労困憊の竜王、いい加減な女神が次々にカイトの家に押しかけてくる! ​「世界の管理者」すら手が出せない最強の農場主、カイト。 これは、世界の運命と、美味しい野菜と、ペットの散歩に追われる、史上最も騒がしいスローライフ物語である!

処理中です...