深淵に眠る十字架 The second

ルカ(聖夜月ルカ)

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復讐の連鎖

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 「おうっ!誰かと思ったらアズラエルじゃないか、久しぶりだなぁ!」

トレルは、少し戸惑った様子のアズラエルにはかまわず、その身体を抱き締めた。



 「お…おいっ、トレル!
 一体、どうしたんだ?」

アズラエルはトレルの身体を押し戻した。
トレルは肩をすくめ、おかしそうに笑う。



 「トレル……何か、良い事でもあったのか?」

 「……俺、そんなにおかしいか?」

 「あぁ……明らかにおかしい。」

 「酷いこと言うなぁ…まぁ、かけろよ。」

トレルは、相変わらず浮かれた様子で、アズラエルの向かい側に腰掛けた。



 「……アズラエル…実は、俺……
女が出来たんだ。」

 「女が…?なんだ、そんなことか…
しかし、君は常に女に不自由はしていないと思ったが…」

 「ただの女じゃない…あんたも会ったらきっと驚くぜ!
 今、買い物に出掛けてるが、じき戻るから、ぜひ会って行ってくれ。
 運命の出会いっていうのは本当にあるんだなぁ…
まさか、こんなことになるなんて、ちょっと前までは予想もしていなかった…」

 夢見がちに話すトレルに、アズラエルは冷やかな視線を送った。



 「トレル…オルジェス達のことは気にならないのか?
 君は、女に現を抜かして彼らのことを忘れたとでも言うのか…」

にこやかな笑みの宿っていたトレルの顔から、一瞬でその笑みが消えた。



 「……もちろん、忘れたわけじゃないさ。
だが…ここの所は、彼女のおかげで忘れることが出来た。
いつも心の底にわだかまってた奴らに対する重い気持ちを、彼女はすっかり忘れさせてくれたんだ。」

 満足げに話すトレルに、アズラエルは大きな音を立てテーブルに両手を付いた。



 「君って奴は……!
 君には父親としての自覚はないのか!?
こんな大事な時に、オルジェスやルークのことをすっかり忘れていただと…?
 私には理解出来ん!」

 「あんたは、本気で女を愛したことがないからそんな風なんだ!
もちろん、俺だって奴らのことを考えてるさ。
だが、俺は奴らのためだけに生きてるわけじゃない!
 父親であると同時に、俺は俺という一人の男なんだ!
あんたみたいに、すべてを捨ててそれだけに生きるなんて出来ないね!」

アズラエルは、興奮を押さえるかのように大きく息を吸いこむ。



 「……そうか…君の気持ちはよくわかった…
君は君の人生を好きに生きれば良いだろう。
オルジェスとルークのことは、私が何とかする…!」

トレルを睨みつけるようにして、アズラエルの姿はその場からかき消えた。


 
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