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決意
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「本当に役に立たない女だな…」
「ごめんなさい…」
吐き捨てるようにそう言って、早足で歩き始めたルークの後を、サマンサは小走りで着いて行く。
「ルーク、あそこに古着屋があるわ。」
その声に、ルークは不意に立ち止まって振り向いた。
「僕だっておまえには古着で十分だと思うけど、ベルナールは身だしなみにはうるさいんだ。
ここにはろくな仕立て屋がないから、隣町まで行くぞ。」
「え…わ、わかったわ。」
相変わらず歩く速度を落とさないルークに、サマンサは懸命に着いて行った。
「ねぇ、ルーク…」
息を切らしながら、サマンサがルークに声をかける。
「なんだよ、黙って歩けよ。」
サマンサの方を見ることもなく答えたルークに、サマンサは少し寂しそうな表情で言葉を続けた。
「ベルナールさんとは、どこで知り合ったの?」
「……そんなこと、どうだって良いだろ!
言っておくが、いくらベルナールを好きになったって、おまえになんかに望みはないからな。
ベルナールは見ての通り、滅多にいない程の美男子だ。
ベルナールに言い寄る女なんて…」
「違う!
私、そんな意味で言ったんじゃない!」
声を荒げたサマンサに、ルークはようやく顔を上げた。
「じゃあ、どういうことなんだ?」
「それは……ベルナールさんが…
ちょっと話しただけだけど、ベルナールさんはオルジェスやあなたのことをとても大切に想ってる感じがしたから…」
その言葉を聞いた途端、ルークの表情が不意に緩んだ。
「おまえにもわかるか…
ベルナールは…僕達のことを本当の家族みたいに想ってくれてる…
苦労して育ってきたせいか、人の痛みがわかる人なんだ。
それに、頭も切れるし、ああ見えて力も強い…
最高の男だよ。」
「そう……でも、ベルナールさんは悪魔…なのよね?」
「だからどうだって言うんだ!?
ベルナールは、悪魔とはいえものすごく深い愛情の持ち主だ。
悪魔にもそういう奴はいるんだ!
……逆に、人間でも悪魔以上に冷酷で酷い奴だっている…!」
ルークは拳を固く握り締め、その肩は小さく震えていた。
(ルーク…トレルおじさんや父さん達のことを言っているのね…)
ベルナールとの約束もあり、知っていることは言えなかったが、サマンサは想いをこめてルークの手を静かに握る。
「ルーク…」
「さ、くだらない話はやめて早く行くぞ。」
ルークはサマンサの手を冷たく振り払い、また、さっさと歩き出した。
「本当に役に立たない女だな…」
「ごめんなさい…」
吐き捨てるようにそう言って、早足で歩き始めたルークの後を、サマンサは小走りで着いて行く。
「ルーク、あそこに古着屋があるわ。」
その声に、ルークは不意に立ち止まって振り向いた。
「僕だっておまえには古着で十分だと思うけど、ベルナールは身だしなみにはうるさいんだ。
ここにはろくな仕立て屋がないから、隣町まで行くぞ。」
「え…わ、わかったわ。」
相変わらず歩く速度を落とさないルークに、サマンサは懸命に着いて行った。
「ねぇ、ルーク…」
息を切らしながら、サマンサがルークに声をかける。
「なんだよ、黙って歩けよ。」
サマンサの方を見ることもなく答えたルークに、サマンサは少し寂しそうな表情で言葉を続けた。
「ベルナールさんとは、どこで知り合ったの?」
「……そんなこと、どうだって良いだろ!
言っておくが、いくらベルナールを好きになったって、おまえになんかに望みはないからな。
ベルナールは見ての通り、滅多にいない程の美男子だ。
ベルナールに言い寄る女なんて…」
「違う!
私、そんな意味で言ったんじゃない!」
声を荒げたサマンサに、ルークはようやく顔を上げた。
「じゃあ、どういうことなんだ?」
「それは……ベルナールさんが…
ちょっと話しただけだけど、ベルナールさんはオルジェスやあなたのことをとても大切に想ってる感じがしたから…」
その言葉を聞いた途端、ルークの表情が不意に緩んだ。
「おまえにもわかるか…
ベルナールは…僕達のことを本当の家族みたいに想ってくれてる…
苦労して育ってきたせいか、人の痛みがわかる人なんだ。
それに、頭も切れるし、ああ見えて力も強い…
最高の男だよ。」
「そう……でも、ベルナールさんは悪魔…なのよね?」
「だからどうだって言うんだ!?
ベルナールは、悪魔とはいえものすごく深い愛情の持ち主だ。
悪魔にもそういう奴はいるんだ!
……逆に、人間でも悪魔以上に冷酷で酷い奴だっている…!」
ルークは拳を固く握り締め、その肩は小さく震えていた。
(ルーク…トレルおじさんや父さん達のことを言っているのね…)
ベルナールとの約束もあり、知っていることは言えなかったが、サマンサは想いをこめてルークの手を静かに握る。
「ルーク…」
「さ、くだらない話はやめて早く行くぞ。」
ルークはサマンサの手を冷たく振り払い、また、さっさと歩き出した。
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