78~運命のカード

ルカ(聖夜月ルカ)

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王子

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(まさか…僕は異世界に飛ばされたっていうのか!
でも…それじゃあ、なぜ僕はディオニシスなんて者になってるんだ?
ダニエルじゃないのはなぜなんだ?
それにあんなのは空想の物語で……でも……)

ディオニシスは都市伝説と呼ばれるものを思い出していた。
ある海域では何艘もの船や飛行機が忽然と消息不明になっている…
いるはずのない者や見えない存在の目撃例も後を断たない。
ディオニシスは、元々、どちらかといえばそういうものを肯定するタイプの人間だった。



 (……まだ信じられないけど…そういう風に考えれば僕がここのことを何も覚えていないことにも説明が着く。
そうだよ、僕が本当はダニエルだってことがわかっただけで十分だよ。
もう混乱することはない。
 当分はディオニシスとして暮らしながら、このカードを使えば良いんだ。
そして、最後のカードを破り捨てれば良いだけのことじゃないか。
 一日一枚しか引けないって言ってたからすぐには無理だけど、ここで二ヶ月ちょっと辛抱すれば、僕は元の世界に戻れるんだ!)

 物事は単純に考える程、気落ちしないものだということを、ディオニシスは知っていた。
 本当はまだ釈然としないことも多々あったが、それを今思い悩んでもその答えは得られないばかりか気が滅入るだけだと考え、あえてそのことは封印することにした。
ディオニシスは身体を起こし、カードを手に取り、心をこめてシャッフルする。
そして、一番上のカードを一枚、ゆっくりと表に向けた。
 真っ黒なカードの表面に少しずつぼんやりとした絵柄が浮かび上がって行く。



 (……なんだろう?…これは…)

そこにはただ漠然と数人の男女が描かれていた。
どの顔も無表情で、それが何を意味するのか、ディオニシスには皆目わからなかった。



 (僕もまだまだだな。
カードの言ってることがわからない…
とにかく深く考えることはないさ。
 僕はただカードを引けば良いだけなんだ。)

ディオニシスはどこかほっとした想いで残りのカードと紙幣を缶に戻し、引いたカードをその上に乗せて、引出しの奥深くに仕舞いこんだ。
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