130 / 536
王女
7
しおりを挟む
「そんなことがあったんですか。
ですが、それはあなたのせいなどではありません。
そんなことを気に病むより、これから皆で協力して彼らをみつけ救い出す事を考えましょうよ。
……そういえば、リアナさん…あなたのお故郷はどちらですか?」
「……ラーフィンの片田舎です。」
「ラーフィン!」
不意に声を上げたダニエルに、リアナは不思議そうな顔を向けた。
「もしかしたら、ダニエルさんもラーフィンから?」
「い…いえ、そういうわけではないんです。
あ、あの…暖かくて良い所だと聞いていたので、ちょっと気になってただけです。」
「そうでしたか…」
事情を知るスピロス達は、ダニエルがリアナをうまく誤魔化したことにほっと胸を撫で下ろす。
「確かに気温は温暖ですが、若い者にとっては退屈な場所かもしれませんね。
これといった娯楽もありませんし…都会からたまに来られるのも、骨休めや釣り目当ての人くらいのものです。
たいした宿もありませんし、様々な点で便利とは言えませんから、観光で人が集まるような場所ではありません。」
「そうなんですか。
僕はいくつかの国を巡りましたが、ラーフィンにはまだ行ったことはないんですよ。
それで、リアナさんはどんなお仕事をされてたんですか?」
「魚や果物を缶詰にする小さな工場です。
でも、新鮮な魚や果物はやはり生で食べてこそおいしいもの…
そのせいか、業績も上がらず、とうとう閉鎖されてしまったんです。
いえ…頑張ればまだ続けられたのかもしれませんが、オーナーはけっこう高齢でしたから、やる気を失われたということかもしれません。
ラーフィンでは、定職に就いていなくても食べるものには困ることはありません。
魚も果物も野菜も食べきれない程豊富にありますし、家をもたない者はいませんから。
たとえ、外で野宿したとしても暖かいので風邪をひくようなこともありません。
それに、店といえば生活に必要なものを売る店があるだけのことで、宝石等贅沢なものを売る店はありませんし、お金を持っていても使う場所がないんです。
大酒を飲むとか何か特別なことをしない限りは、誰もが程ほどの生活が出来、安全に暮らせる国なんです。
もちろん、ハンターなんて現れたことはありませんでした。
人の噂でそういう者がいることは聞いてはいましたが、自分とは関係のないもののように感じていました。
それ程に、平和でのどかな国なんです。
父さんはそれを知って、ラーフィンに移ったのかもしれません。」
ですが、それはあなたのせいなどではありません。
そんなことを気に病むより、これから皆で協力して彼らをみつけ救い出す事を考えましょうよ。
……そういえば、リアナさん…あなたのお故郷はどちらですか?」
「……ラーフィンの片田舎です。」
「ラーフィン!」
不意に声を上げたダニエルに、リアナは不思議そうな顔を向けた。
「もしかしたら、ダニエルさんもラーフィンから?」
「い…いえ、そういうわけではないんです。
あ、あの…暖かくて良い所だと聞いていたので、ちょっと気になってただけです。」
「そうでしたか…」
事情を知るスピロス達は、ダニエルがリアナをうまく誤魔化したことにほっと胸を撫で下ろす。
「確かに気温は温暖ですが、若い者にとっては退屈な場所かもしれませんね。
これといった娯楽もありませんし…都会からたまに来られるのも、骨休めや釣り目当ての人くらいのものです。
たいした宿もありませんし、様々な点で便利とは言えませんから、観光で人が集まるような場所ではありません。」
「そうなんですか。
僕はいくつかの国を巡りましたが、ラーフィンにはまだ行ったことはないんですよ。
それで、リアナさんはどんなお仕事をされてたんですか?」
「魚や果物を缶詰にする小さな工場です。
でも、新鮮な魚や果物はやはり生で食べてこそおいしいもの…
そのせいか、業績も上がらず、とうとう閉鎖されてしまったんです。
いえ…頑張ればまだ続けられたのかもしれませんが、オーナーはけっこう高齢でしたから、やる気を失われたということかもしれません。
ラーフィンでは、定職に就いていなくても食べるものには困ることはありません。
魚も果物も野菜も食べきれない程豊富にありますし、家をもたない者はいませんから。
たとえ、外で野宿したとしても暖かいので風邪をひくようなこともありません。
それに、店といえば生活に必要なものを売る店があるだけのことで、宝石等贅沢なものを売る店はありませんし、お金を持っていても使う場所がないんです。
大酒を飲むとか何か特別なことをしない限りは、誰もが程ほどの生活が出来、安全に暮らせる国なんです。
もちろん、ハンターなんて現れたことはありませんでした。
人の噂でそういう者がいることは聞いてはいましたが、自分とは関係のないもののように感じていました。
それ程に、平和でのどかな国なんです。
父さんはそれを知って、ラーフィンに移ったのかもしれません。」
0
あなたにおすすめの小説
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
婚約破棄から始まる物語【完】
mako
恋愛
メープル王国王太子であるアレクセイの婚約者である公爵令嬢のステファニーは生まれた時から王太子妃になるべく育てられた淑女の中の淑女。
公爵家の一人娘であるステファニーが生まれた後は子どもができぬまま母親は亡くなってしまう。バーナディン公爵はすぐさま再婚をし新たな母親はルシャードという息子を連れて公爵家に入った。
このルシャードは非常に優秀であり文武両道で背の高い美男子でもあったが妹になったステファニーと関わる事はなかった。
バーナディン公爵家は、今ではメープル王国のエリート一家である。
そんな中王太子より、ステファニーへの婚約破棄が言い渡される事になった。
妹のために愛の無い結婚をすることになりました
バンブー竹田
恋愛
「エミリー、君との婚約は破棄することに決まった」
愛するラルフからの唐突な通告に私は言葉を失ってしまった。
婚約が破棄されたことはもちろんショックだけど、それだけじゃない。
私とラルフの結婚は妹のシエルの命がかかったものでもあったから・・・。
落ちこむ私のもとに『アレン』という大金持ちの平民からの縁談が舞い込んできた。
思い悩んだ末、私は会ったこともない殿方と結婚することに決めた。
ダンジョンでオーブを拾って『』を手に入れた。代償は体で払います
とみっしぇる
ファンタジー
スキルなし、魔力なし、1000人に1人の劣等人。
食っていくのがギリギリの冒険者ユリナは同じ境遇の友達3人と、先輩冒険者ジュリアから率のいい仕事に誘われる。それが罠と気づいたときには、絶対絶命のピンチに陥っていた。
もうあとがない。そのとき起死回生のスキルオーブを手に入れたはずなのにオーブは無反応。『』の中には何が入るのだ。
ギリギリの状況でユリアは瀕死の仲間のために叫ぶ。
ユリナはスキルを手に入れ、ささやかな幸せを手に入れられるのだろうか。
エレンディア王国記
火燈スズ
ファンタジー
不慮の事故で命を落とした小学校教師・大河は、
「選ばれた魂」として、奇妙な小部屋で目を覚ます。
導かれるように辿り着いたのは、
魔法と貴族が支配する、どこか現実とは異なる世界。
王家の十八男として生まれ、誰からも期待されず辺境送り――
だが、彼は諦めない。かつての教え子たちに向けて語った言葉を胸に。
「なんとかなるさ。生きてればな」
手にしたのは、心を視る目と、なかなか花開かぬ“器”。
教師として、王子として、そして何者かとして。
これは、“教える者”が世界を変えていく物語。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
【商業企画進行中・取り下げ予定】さようなら、私の初恋。
ごろごろみかん。
ファンタジー
結婚式の夜、私はあなたに殺された。
彼に嫌悪されているのは知っていたけど、でも、殺されるほどだとは思っていなかった。
「誰も、お前なんか必要としていない」
最期の時に言われた言葉。彼に嫌われていても、彼にほかに愛するひとがいても、私は彼の婚約者であることをやめなかった。やめられなかった。私には責務があるから。
だけどそれも、意味のないことだったのだ。
彼に殺されて、気がつけば彼と結婚する半年前に戻っていた。
なぜ時が戻ったのかは分からない。
それでも、ひとつだけ確かなことがある。
あなたは私をいらないと言ったけど──私も、私の人生にあなたはいらない。
私は、私の生きたいように生きます。
愛人を選んだ夫を捨てたら、元婚約者の公爵に捕まりました
由香
恋愛
伯爵夫人リュシエンヌは、夫が公然と愛人を囲う結婚生活を送っていた。
尽くしても感謝されず、妻としての役割だけを求められる日々。
けれど彼女は、泣きわめくことも縋ることもなく、静かに離婚を選ぶ。
そうして“捨てられた妻”になったはずの彼女の前に現れたのは、かつて婚約していた元婚約者――冷静沈着で有能な公爵セドリックだった。
再会とともに始まるのは、彼女の価値を正しく理解し、決して手放さない男による溺愛の日々。
一方、彼女を失った元夫は、妻が担っていたすべてを失い、社会的にも転落していく。
“尽くすだけの妻”から、“選ばれ、守られる女性”へ。
静かに離婚しただけなのに、
なぜか元婚約者の公爵に捕まりました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる