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王女

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「何なんだよ!
 一体、どんな問題があるっていうのさ?
お金のことかい?
それなら、ダニエルのお金があるじゃないか。」

スピロスは、アドニアに向かって首を振る。



 「お金の問題ではないのです。」

 「実はな、アドニア…
ロダンっていうのは護符作りの名人として名高い魔導師ではあるんだが…
かなり高齢なはずなんだ。
なんせ、俺が子供の頃からその名前は伝説になってたくらいだから。
だが、最近のロダンの話は全く聞いたことがない。
スピロスがさっき話をするまでは、その名前を忘れてたくらいだ。
……ってことは、もしかしたらロダンはもうすっかりもうろくして護符なんて作れる状態じゃないとか、すでにこの世にいないってことだって考えられる。」

 「その通りです。
それと、今、気付いたのですが……問題はまだあります。
 絆の護符というものはとても古い魔法を使って作るものなんです。
もしも、ロダンがまだ護符を作られる状態で生きていたとしても、護符に必要なものが今手に入るかどうか…」

 「だよなぁ…
残念だが、ロダンの線は難しそうだな。」



 「そんな…!
 可能性があるなら、やってみるべきだと思います。
その方の住んでる場所はわかるんですか!?
もし、わかったら、私が会いに行ってみます!」



 部屋にいた四人は、一斉にリアナをみつめた。
リアナの声はそれほどに熱がこもり、切羽詰ったものだった。



 「そ、そうだね。
リアナの言う通りだ。
だめかどうかはやってみなくちゃわからないものね。
アレク、ロダンの住み家はわかってるのかい?」

 「あ…あぁ、仲間に聞いてみるよ。」

 「僕も聞いてみます。
きっと、わからないことはないと思います。」

 「よし、それじゃあ、決まりだ!
 明日、早速、アレクとスピロスにロダンの家を探してもらうことにしよう。
リアナ、今夜は私の家にお泊まり。
あんたも疲れてるだろう?今夜は早めに休んだ方が良いよ。
よし、じゃあ、今から連れて行こう。
ここからすぐだからね。」

 「アドニアさん、どうもありがとうございます。」

リアナはアドニアに礼をのべ、二人は部屋を後にした。
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