上 下
170 / 292
予期せぬ出来事

18

しおりを挟む




 「まだなのか?
あんまり遅くなったら、夜が明けちまうぜ。」

 「あぁ、わかってる…
そろそろいくか……
でも、レイリー…」

 「あぁ、わかってる、わかってる。
やりすぎるなってんだろ?
 十分わかってるから、そろそろとりかかろうぜ。」

 「……そうだな。」

 二人は木陰に身を潜めながら、ゆっくりと立ち上がった。



 「なるべく、音と光を派手に…」

 「それなら、さっきから何度も聞いた。
じゃあ、行くぜ!」

レイリーが腕を振り上げると、洞窟の入り口に大きな花火のようなものがあがった。
 雷のような轟音があたりに響き、漆黒の闇を明るく照らし出す。
そこに、アレクの術が加わり、門番の男達は悲鳴を上げて中に走って行った。
レイリーとアレクは、なおも火花の魔法を上げ続けた。



 「そろそろ出て来るかな。」

 「そうだな。みつからないように気をつけろよ。」

 「そんなへまはしないさ。」

レイリーはにやにやと笑いながら、派手な術の発動を続けた。
しおりを挟む

処理中です...