78~運命のカード

ルカ(聖夜月ルカ)

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 「出るんだ!」

 夜が更けた頃、スピロスは後ろ手に縛られ、牢から乱暴に引っ張り出された。



 「あの…どこへ…」

 「おまえはそんなこと考える必要はない。」

 男は労を出ると、外にいた別の男に声をかけた。



 「じゃあ、お願いします。」

 「わかった。」

 牢の外には、魔導師と思われる男が待っていた。
 魔導師は、スピロスの手を取り、その場から姿をかき消した。



 (……ここは……?)



 瞬き一つするかしないかの間に、スピロスは見知らぬ場所へ運ばれていた。
そびえる高い山とひやりとした空気から、そこがトラニキアの傍だとスピロスは推測した。



 「こっちだ!」



 魔導師はスピロスの背中を小突きながら、入り口へと押しやった。
 二人がそこへ入ると、結界のおぼろげな空気の揺らめきが現れ、スピロスの首には護符がかけられた。
 護符のおかげで、スピロスは何事もなく結界を通過した。


 「まっすぐに進め!」

スピロスは言われるままに、細い廊下を歩いて行く。
 小さな扉の前に男が立ち、二人の姿を認めると、その扉を開いた。



 「ずいぶんと生っ白い奴だな。」

 「では、私はこれで…」

 「ありがとう。
さぁ、おまえはここに入れ!」

 背中を強く押され、スピロスは倒れそうになるのを懸命にバランスを取って踏みとどまった。
 扉は乱暴に閉じられ、スピロスは薄暗い小部屋の中にひとりきりとなった。



 (一体、ここはどこなんだろう?)


 窓もなく、そんな部屋の中からはあたりの様子を探ること等出来ない。
スピロスは諦めて、傍にあった粗末な椅子に腰かけた。



 (アレク達…僕を探してくれてるだろうか?
でも、無理だ。
 例え、場所が突き止められたとしても、僕には術は使えない。
 協力者なしに結界を破ることは難しいだろう…)



しばらくすると、数人の足音が近付いて来るのがスピロスの耳に届いた。
 足音は扉の前で停まり、その扉が開かれた。



 「では、頼んだぞ。」

 「はい。」

 入って来たのは扉の前にいた男と中年の女性だった。
 女性は、椅子に座ったままのスピロスの前に立ち、男はスピロスの肩を後ろから押さえ込んだ。
 女性は黙ったままでスピロスに片手をかざし、それをゆっくりと動かしていく。



 「あの…一体、何を…」

 「黙ってろ!」

 男に一喝され、スピロスは口を閉ざした。
 女性はそんなことすら少しも意に介さず、同じ動作を続けた。
その女性の手が不意に停まった。
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