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涙する二人

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ネストルとジャーメインが飛んだ先は、五合目の宿舎のネストルの執務室だった。



 「しくじったのか!?」

 「そ、それが…ヴァシリスの奴、意外に強くて…
深手は負っていると思うのですが、取り逃がしてしまい…」

 「馬鹿者!」

ネストルは、ジャーメインの頬を力任せに殴りつけた。
ジャーメインは、頬を押さえ、地面に転がった。



 (どうする?どうすれば良い?
あの赤い雲…そして、リガスが来た以上、おそらくマウリッツは帰還するだろう。
マウリッツだけなら問題はない…
だが…もしも、ディオニシスが帰ってきたら…
い、いや!そんなことはない!
ディオニシスが生きている道理がない。
だが…もしも……もしも、ディオニシスが戻って来たら、私はおしまいだ。
 私がディオニシスをロージックに送ったことがバレてしまう…
それだけじゃない。
ニコラスも殺し損ねた…
奴は、私があいつを殺そうとしたことを王に話すだろう…
そうなったら、私は……どうすれば良いのだ!?)



ネストルは、苛立ちを押さえることが出来ず、両手で激しく机を叩きつけた。
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