あれこれ短編集

ルカ(聖夜月ルカ)

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年明け島にようこそ!

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「畜生!
集まったのは、たったこれっぽっちかよ!」

高台に佇み、双眼鏡をのぞきこみながらミカエルは悔しげに舌を打つ。



「ねぇ、ミカエル~
早くパワースポットに連れて行ってよ。」

「馬鹿野郎!
ここには危険な猛獣もいるんだぞ!
だから、そういうのがいないかちゃん調べてからじゃないと危険だろうが!」

「そ、そうなの?」

カパエルの顔は俄かに不安な表情へと変わり、あたりをきょろきょろと見渡した。



(なんで、皆、来ないんだ?
宝が何かわからないからか?
こんなことなら、もっと具体的な宝を書いておけば良かったぜ!)



ミカエルがある道具屋で古文書をみつけたのは数日前のことだった。
城の学者に解読させた所、新年の太陽が昇り、沈むまでの間にしか姿を表さない伝説の年明け島の場所が書かれてあり、その島には他に類を見ないたいそう素晴らしい宝があるということだった。
その島がどのくらいの大きさなのかはわからなかったが、いくら小さな島だといってもそんな短時間で探し出せるとは思えず、出来る事なら国の者にも知られたくはなかったミカエルは、他の物語の者達を利用することを思い着いた。
他の物語の者達とはそう懇意にすることもなく、出会う機会も滅多にない。
誰かに宝を探し出させ、それを横取りしてとんずらする…
一応、それなりの変装はするつもりだったが、たとえ自分の正体がバレたところでそんなことはどうでも良いことだとミカエルは考えていた。
そして、その他にももう一つ、ミカエルには黒い企みがあった。
それは、カパエルを島に置き去りにする事…



(カパエルがいなくなったら、アンジェリーナは俺のものだ!
奴が行方不明になって、心細くなった所へ俺が優しく言い寄って…)


ミカエルの脳内にお馬鹿な妄想が浮かび上がる…



「ミカエル様、私、これからどうしたら良いのか…」

「心配することはありませんよ、アンジェリーナ…
私がこの命に代えても、国とあなたのことを御守りします!」

「ミカエル様、本当ですか?」

「ええ、もちろんです!」

「ミカエル様!」



(俺は、アンジェリーナの身体を抱き締め、あの柔らかな唇にチューをして、そして……
あぁぁ…あの巨乳がついに俺のものになるんだ…!)

ミカエルは目を閉じて唇を突き出し、両手で自分の身体を抱き締めた。



「……ミカエル…何してるの?」



「はっ!?
な、な、なんでもない!」

カパエルの声で我に返ったミカエルは、咄嗟に髪をかきあげ、素知らぬ顔を決めこんだ。 
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