あれこれ短編集

ルカ(聖夜月ルカ)

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十字架の楽園

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暗い闇が紫色に変わる頃、やっとあの場所が見えて来た。
ジョシュアが監獄だと言ったあの高い塀が…
私は、気力と体力を振り絞り、そこを目指した。
二年と少しの歳月が経っても、その場所は少しも変わっていなかった。
高い塀を回りこみ、鉄条網で囲まれた場所へ向かうと、そこには真新しい布の切れ端と赤いものがこびりついていた。
すでに、ジョシュアはここへ来ている…!
私は速まる胸の鼓動を抑えながら、鉄条網を乗り越えた。
針が刺す肌の痛みを感じても引き返すわけにはいかない。
ジョシュアを止めなければ…

鉄条網を乗り越え、血にまみれた身体をひきずりながら私は懐かしいあの屋敷へ向かった。
大きな声でジョシュアとロビンソン博士の名前を呼びながら…
裏口の扉は、鍵穴がライフルによって吹き飛ばされていた…
私の不安は一気に大きなものに変わっていった。



「ジョシュア!!どこにいるの!
ジョシュア!!」

その時、扉の開く音がして、亡霊のようなジョシュアが姿を現した。
ちょうどそれはロビンソン博士の部屋の前だ。



「リリィ…
寝てなきゃだめじゃないか。
気分は悪くないのか?」

「ジョシュア…」

ジョシュアの落ちついた声が、逆に私の不安をかきたてた。


そっと部屋の中をのぞいた私の目に映ったものは…
ソファーの上で真っ赤になって息絶えているロビンソン博士だった…

私が声も出せずその場に立ち尽していると、ジョシュアは後ろ手でそっと扉を閉めた。



「リリィ…ここの鬼を始末した。
……これで、俺もおまえと同じ苦しみを背負える…
おまえだけを苦しませたりはしないよ。
これからは二人で新しい人生を始めよう。
今までのことは全部忘れるんだ…良いね…」

私は膝ががくがくとしてうまく立ってられなかった。
涙がこみ上げ、気持ちが悪くなって来た。



「大丈夫か?リリィ…
どこかで…」

ふと見ると、私達の前に小さな男の子が立っていた。
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