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イヴの奇跡
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『……そこで、サンタはルドルフに言ったんだ。
おまえの鼻は他のとなかいとは違う。
赤くてぴかぴかしてるから、それがあれば子供達の所にプレゼントを運ぶことが出来る。
どうか、先頭でそりをひいてくれないか…ってな。
サンタのそりをひくだけでもすごいことなのに、しかも、先頭だ。
今まで、鼻のことでコンプレックスを感じて後ろ向きな人生を送ってたルドルフが、その鼻のおかげで動物たちのヒーローになったんだ。
それこそが、コピーライターの言いたかったことなんだ。
皆と違ってることは、何も悪いことじゃない。
むしろ、すごく素敵なことなんだって。』
「そっか……
赤鼻のトナカイって、けっこう深いぃ~話だったんだね。」
『ま、そういうこと。
その話は一気に全世界に広まり、それから赤鼻のとなかい・ルドルフは歌まで作られて有名になったんだ。
な!だから、お前も頑張れよ!
別に結婚だけが幸せとは限らない。
ひとりでだって、良いことはあるさ。』
「う、うっさい!
私のことはほっといて!
わ、私、なにもコンプレックスなんて感じてないし!」
余計なことを言って、歯をむき出すとなかいに、私は精一杯の強がりを言ってみせた。
「あーーーーーっ!」
突然、響いた大きな声に驚いて見てみると、そこには走って来る若い飼育員さんの姿があった。
となかいもそれに気付いたらしく、こそこそと小屋の方へ入って行った。
「森田さん、早く!!」
若い飼育員さんの後から、中年の飼育員さんがちょっと遅れて走って来る。
檻の前に来た若い飼育員さんは中に入り…そして、遅れて来た飼育員さんがまた中に入って……
「ほら、やっぱり君の見間違いじゃないか。」
「でも、俺…はっきり見たんです。
確かにこの檻の中には5頭いました。」
「それじゃあなにか?
となかいがどこからか1頭紛れ込んで、そしてまた自分で出て行ったとでもいうのか?」
「だ、だけど……」
「さ、もう気が済んだだろう?
この檻のとなかいは4頭。君も今しっかり確認しただろう?
何ならもう一度確認するか?」
「……いえ。すみません。
お騒がせして……」
二人の会話を立ち聞きしていて、私は背筋に寒いものを感じた。
だって、私も確かに5頭いたのを見たもの。
ってことは、きっとあのとなかいが……
中年の飼育員さんはさっさとその場を立ち去り、その後を肩を落とした若い飼育員さんがゆっくりと出て来た。
「あ…あの……」
「え?」
顔を上げた若い飼育員さんは意外にもけっこうなイケメンで……
「お、おかしなこと言ってすみません。
じ、実は、お二人の会話が聞こえちゃったんですけど…
わ、私も、5頭いるのを見ました。」
「えっっ!」
飼育員さんは目を丸くして私をみつめて……
「となかい、お好きなんですか?」
「え?えぇ…ま、まぁ……」
「そうなんですか。」
別にとりたてて好きではないけれど、この状況ではそんなことは言えない。
私のいいかげんな返事に、飼育員さんは、意外にもすっごく嬉しそうな笑みを浮かべた。
「あの…良かったら、LINE…」
「は、はいっっ!」
私は0.1秒の早業でスマホを差し出した。
~fin.
おまえの鼻は他のとなかいとは違う。
赤くてぴかぴかしてるから、それがあれば子供達の所にプレゼントを運ぶことが出来る。
どうか、先頭でそりをひいてくれないか…ってな。
サンタのそりをひくだけでもすごいことなのに、しかも、先頭だ。
今まで、鼻のことでコンプレックスを感じて後ろ向きな人生を送ってたルドルフが、その鼻のおかげで動物たちのヒーローになったんだ。
それこそが、コピーライターの言いたかったことなんだ。
皆と違ってることは、何も悪いことじゃない。
むしろ、すごく素敵なことなんだって。』
「そっか……
赤鼻のトナカイって、けっこう深いぃ~話だったんだね。」
『ま、そういうこと。
その話は一気に全世界に広まり、それから赤鼻のとなかい・ルドルフは歌まで作られて有名になったんだ。
な!だから、お前も頑張れよ!
別に結婚だけが幸せとは限らない。
ひとりでだって、良いことはあるさ。』
「う、うっさい!
私のことはほっといて!
わ、私、なにもコンプレックスなんて感じてないし!」
余計なことを言って、歯をむき出すとなかいに、私は精一杯の強がりを言ってみせた。
「あーーーーーっ!」
突然、響いた大きな声に驚いて見てみると、そこには走って来る若い飼育員さんの姿があった。
となかいもそれに気付いたらしく、こそこそと小屋の方へ入って行った。
「森田さん、早く!!」
若い飼育員さんの後から、中年の飼育員さんがちょっと遅れて走って来る。
檻の前に来た若い飼育員さんは中に入り…そして、遅れて来た飼育員さんがまた中に入って……
「ほら、やっぱり君の見間違いじゃないか。」
「でも、俺…はっきり見たんです。
確かにこの檻の中には5頭いました。」
「それじゃあなにか?
となかいがどこからか1頭紛れ込んで、そしてまた自分で出て行ったとでもいうのか?」
「だ、だけど……」
「さ、もう気が済んだだろう?
この檻のとなかいは4頭。君も今しっかり確認しただろう?
何ならもう一度確認するか?」
「……いえ。すみません。
お騒がせして……」
二人の会話を立ち聞きしていて、私は背筋に寒いものを感じた。
だって、私も確かに5頭いたのを見たもの。
ってことは、きっとあのとなかいが……
中年の飼育員さんはさっさとその場を立ち去り、その後を肩を落とした若い飼育員さんがゆっくりと出て来た。
「あ…あの……」
「え?」
顔を上げた若い飼育員さんは意外にもけっこうなイケメンで……
「お、おかしなこと言ってすみません。
じ、実は、お二人の会話が聞こえちゃったんですけど…
わ、私も、5頭いるのを見ました。」
「えっっ!」
飼育員さんは目を丸くして私をみつめて……
「となかい、お好きなんですか?」
「え?えぇ…ま、まぁ……」
「そうなんですか。」
別にとりたてて好きではないけれど、この状況ではそんなことは言えない。
私のいいかげんな返事に、飼育員さんは、意外にもすっごく嬉しそうな笑みを浮かべた。
「あの…良かったら、LINE…」
「は、はいっっ!」
私は0.1秒の早業でスマホを差し出した。
~fin.
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