あれこれ短編集

ルカ(聖夜月ルカ)

文字の大きさ
271 / 406
ハーフハートチョコレート

しおりを挟む
俺の職業はホスト。
この界隈で最も有名な店のNo.1ホストだ。
この職業がよほど俺に向いていたのか、二十歳の時にこの道に入ってから、俺はトントン拍子にのし上がっていった。
春には念願だった自分の店をオープンすることが決まっている。
今年は、たまたまバレンタインデーが店の定休日に重なってしまったため、たいていの常連客からは昨日プレゼントを受け取った。
明日にもまたたくさんのプレゼントを受け取る事になるだろう。
プレゼントの中身は、時計やアクセサリーがほとんどだ。
チョコレート等持って来るような者は一人もいない。
実を言うとチョコレートが嫌いなわけではないのだけれど、そう言うと、きっと食べきれない程のチョコレートをもらってしまう。
それに、カロリーや肌のことを考えて、甘い物は苦手だということにしてある。
ホストにとってルックスはとても重要なものだ。
もちろん、それが全てだとは思ってないが、太ったりにきびを作ってしまったんでは面倒だから、チョコレートは受け取らないことに決めたのだ。



「剣さん、どうかしたんですか?」

「え…?
あぁ…いや、これをくれたのは誰なんだろうと考えてたんだ。
どんな子だった?」

「どんなって…若くて可愛い子でしたよ。」



若くて可愛い子…もう少しわかりやすい表現はないのかと心の中で悪態を吐いていた時、不意に俺の頭の中に一人の女性の顔が浮かんだ。
それは、ごく最近店に来るようになった綾奈の顔だった。
最初見た時、ハーフじゃないかと思った程、色白で目鼻立ちのくっきりした美人だ。
なのに、俺と話す時には頬を赤く染め、恥ずかしそうに俯いて話す。
 見た目の印象とは違い、今時 珍しい程、純情な印象の子だ。
彼女なら俺のこともまだよく知らなくて当然だ。



「もしかして、色白で栗色の巻き髪のスレンダーな子じゃなかった?」

「あぁ、そう…そんな感じです。」



(やっぱり、綾奈だったか…)

そう思った瞬間、俺の顔が綻んだ。
きっとこれは手作りのチョコだ。
俺のことを考えながら、一生懸命作ったのだろう。
店に来る常連客達は、出来るだけ高価なものや珍しいものを贈って俺の気を引こうとする。
それはそれでありがたいのだが、そんな中での手作りチョコはとても新鮮だ。
彼女が、悪戦苦闘しながらチョコを作る姿を想像して、俺はなんとなく良い気分になっていた。 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

彼の言いなりになってしまう私

守 秀斗
恋愛
マンションで同棲している山野井恭子(26才)と辻村弘(26才)。でも、最近、恭子は弘がやたら過激な行為をしてくると感じているのだが……。

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

(完)百合短編集 

南條 綾
恋愛
ジャンルは沢山の百合小説の短編集を沢山入れました。

処理中です...