赤い流れ星

ルカ(聖夜月ルカ)

文字の大きさ
8 / 171
side ひかり

しおりを挟む
「ど、どうしたんだ!?
あ……もしかして、久し振りの手料理でお母さんのことでも思い出したのか?」

 「ち……そ、そう……」

 違うと言ったらすぐにも殺されるかもしれない。
そう思って、私は必死で頷いた。



 「馬鹿野郎…そんなことで泣く奴があるか…」

そう言って、シュウは私にハンカチを差し出した。
 優しいけど……これも見せかけ?
そうじゃないな。
きっと、変質者でも根は優しいんだ…
頭の中のごく一部がおかしいだけで、きっとそれをのぞけば普通の人なんだ…
 ……って、殺される直前にそんな人間観察をしてどうなるんだと私は自分自身に呆れていた。



 「さ、早く食べてしまえよ。
 食べたら、今日は掃除にとりかかるぞ。
……本当に酷いザマだな…
よくも平気でこんな汚い所に住んでたな…」

 「え……汚いって…二階にあがったの?」

 「いや…ニ階はまだだけど…」



そんな……下はあんまり使わないから、比較的、汚してない筈なんだけど…
あ、もしかしたらお風呂場を見られたのか、それとも…この人、潔癖症?



 (あ…違う、そんなことより、先に確かめなきゃいけないことがあるんだ…!)



 「あ…あのぅ……」

 「黙ってちゃっちゃと食べる!」

 「は、はい!」

 有無を言わさぬその言葉に、私は反射的にごはんをかきこんでいた。
それにしても、ごはんの炊き具合もちょうど良い。
 炊飯器にしこむだけなのに、私はたまに水加減を間違えて妙にやわらかかったり固いごはんになるっていうのに…きっと、几帳面な性格なんだな。
それに、味噌汁だけじゃなく、どのおかずの味付けもおいしく出来てるし、切り方も綺麗でうまい…
慌てて食べながらも、そんなことについ感心してしまう。
ふと、視線を上げた時、シュウが真っ直ぐに私を見ていることに気が付いた。
な…何なんだろう?
 私は緊張と恥ずかしさでどんどん顔が熱くなっていくのを感じる。



 「あ…あの…」

 「……もしかして、相当腹減ってた?」

 「え…べ、別にそういうことは…」

 「そうなんだ?
それにしちゃあすごいスピードだな。
トロそうに見えて、けっこう素早いことも出来るんだな。
この調子で掃除も手早く済まそうぜ!」

そう言うとシュウはにっこりと笑った。
か、かっこ良過ぎるんですけど~~!
まるで、芸能人のような爽やかで人懐っこい笑顔に、私はまたしても箸を落としてしまった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

不倫妻への鎮魂歌 ―サレ夫が選んだ、最も残酷で静かな復讐―

MisakiNonagase
大衆娯楽
「サレ夫、再生。不倫妻、転落。──その代償は、あまりに重い。」 「嘘で塗り固めた20年より、真実で歩む明日がいい。」 失って初めて気づく、守られていた日々の輝き。 46歳の美香にとって、誠実な夫と二人の息子に囲まれた生活は、退屈で窮屈な「檻」だった。若い男からの甘い誘惑に、彼女は20年の歳月を投げ打って飛び込んだ。 しかし、彼女が捨てたのは「檻」ではなく「聖域」だったのだ。 不倫、発覚、離婚、そして孤独。 かつての「美しい奥様」が、厚化粧で場末のスナックのカウンターに立つまでの足取りと、傷つきながらも真実の幸福を掴み取っていく夫・徹の再生を描く。 家族とは何か、誠実さとは何か。一通の離婚届が、二人の人生を光と影に分かつ。

還暦の性 若い彼との恋愛模様

MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。 そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様。 その後、結婚、そして永遠の別れまでを描いたストーリーです。 全7話

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

屈辱と愛情

守 秀斗
恋愛
最近、夫の態度がおかしいと思っている妻の名和志穂。25才。仕事で疲れているのかとそっとしておいたのだが、一か月もベッドで抱いてくれない。思い切って、夫に聞いてみると意外な事を言われてしまうのだが……。

17歳男子高生と32歳主婦の境界線

MisakiNonagase
恋愛
32歳の主婦・加恋。冷え切った家庭で孤独に苛まれる彼女を救い出したのは、ネットの向こう側にいた二十歳(はたち)と偽っていた17歳の少年・晴人だった。 「未成年との不倫」という、社会から断罪されるべき背徳。それでも二人は、震える手で未来への約束を交わす。少年が大学生になり、社会人となり、守られる存在から「守る男」へと成長していく中で、加恋は自らの手で「妻」という仮面を脱ぎ捨てていく…

処理中です...