赤い流れ星

ルカ(聖夜月ルカ)

文字の大きさ
上 下
45 / 171
side ひかり

45

しおりを挟む




 (……おかしいなぁ……)

 畑を過ぎると今度は森?…林かな?
なんだかよくわからないけど、木がいっぱい生えてる場所に出た。
 最初は、森林浴だなんて思って良い気分だったんだけど、歩いても歩いてもその景色が変わらない。
 足も相当痛くなってお腹もすいて、私は、道端に座りこんで買って来たパンを食べた。
それで少しは元気が出るかと思いきや、そうでもなくて、むしろ、妙に落ち付かない。
あまりにも静かで人の気配がしないのが、とても不気味に感じられた。
 不安っていう奴は、ものすごく強いエネルギーを持った魔物で、怖いと思い始めたらそんな気持ちは急速に大きくなっていく。
 私の気持ちは、もはやおとぎ話の主人公が魔の森に迷いこんだくらいの所まで来てて、なんとか早くこの道を脱出しないとって思うんだけど、そういう気持ちがさらに不安に栄養を与えてしまう。
あたりが薄暗いのも怖い。
ふと、時計を見てみると、ショッピングセンターを出てからもう2時間近くが過ぎていた。
ってことは、もう家の近くにいるはずなのに全然そんな雰囲気ではなくて…



(もしかしたら…迷った!?)



そう考えると、ますます心細くなってしまった。
 足は痛いし、あたりに人はいないし…不安で泣きそうな気分を必死に堪えながら、私は歩き出した。
とにかく、ここを出なくちゃいけない。
 痛む足よりも恐怖の方が強かったからか、足はなんとか動いてくれた。
 大丈夫…大丈夫だから…
そう、こんな時は楽しい事を考えなきゃ…

私は好きなアニメや漫画のことを考えたけど、なかなか集中出来ない。
でも、それでも無理に考え続けていると、いつの間にか目の前の景色は変わってた。
やっと、木が途切れ、また畑がちらほらと現れたのだ。
ほっとしたのも束の間、その代わりに空の色が変わり始めていた。
どうしよう…急がないと暗くなる。
 暗くなったらきっとますますわからなくなる。
いや、暗くならなくてもすでにこの先どっちに進めば良いのか、それさえすでにわからない。



 心細さはピークに達し、ついに歩けなくなってしまった私は道端に座りこんで子供のように泣き出してしまった。

しおりを挟む

処理中です...