90 / 171
side ひかり
89
しおりを挟む
*
「……ちゃんと食べてはいるようだな。」
「え…?」
食事中は誰もしゃべらず、台所にはテレビもないからすごく静かで気まずい雰囲気で進んでた。
茶碗に箸のぶつかる小さな音さえ響く食事は本当に気詰まりで……
ま、事情が事情だから仕方ないなと考え、私は黙々と料理を口に運んだ。
そして、ようやくごはんをほぼ食べきった頃、兄さんがぽつりとそんなことを言ったんだ。
「母さんからおまえがすごく痩せてるって聞いてたけど、本当に痩せてたから驚いたよ。
だから、食事もちゃんと採ってないんじゃないかと思ってた。」
「違うよ!
私、食事はきちんと食べてるよ。
ただ、お菓子の量が減って、コーラをやめて…それと規則正しい生活して…あとは前よりよく動くようになったからだと思う。」
兄さんは、私の顔をじっと見て……
そして、ゆっくりと頷いた。
「……確かに、よく動いてたな。
ちょっとびっくりした。」
どういうことですか!?
それじゃあ、以前の私がまるで動かなかったみたいじゃ……って、確かに、前はほとんど動かなかったけど……
「……母さんがとても心配してた。
おまえの様子がおかしいって。
おまえ……母さん達がここに来ることをずっと拒んでるそうじゃないか。
母さんはもしかしたら、おまえに誰か好きな人が出来たんじゃないかとも言ってた。
そのこと自体は悪いことじゃないけど、おまえはそういうことに免疫がないから、相手次第では大変なことになる…
……だから、俺が抜き打ちで見に来たんだ。」
そうか……やっぱり、母さんは気づいてたんだ、私の異変に。
母さんは鋭いから…父さんみたいに簡単には騙せなかったんだ。
「そうだったの……
兄さん…私がシュウと一緒に暮らしてて驚いたと思うけど…
私達、兄さんが考えてるような仲じゃないから。」
「男と女が三ヶ月以上、ひとつ屋根の下にいて、何もないなんてこと、世間が信じると思うか?
しかも、こいつは……おまえのことを愛してると言ったんだぞ。」
「それは……いろいろと深い事情があるの。
でも、本当に私達の間には何もない。
私も……シュウのことは大好きだけど…でも、本当に何もない。」
何もない、何もないって言うのも却って気恥ずかしいもので……
でも、本当に本当のことだから、ここはしっかり言っておかないといけないと思った。
「……すまないが、美幸と二人で話をさせてくれないか?」
「……あ…はい。」
シュウは、言われた通りに席を立ち台所を出て行った。
なんとなく心細くはなったけど、シュウにいやな話を聞かせないですむと思ったら、少しは救われた想いだった。
「……ちゃんと食べてはいるようだな。」
「え…?」
食事中は誰もしゃべらず、台所にはテレビもないからすごく静かで気まずい雰囲気で進んでた。
茶碗に箸のぶつかる小さな音さえ響く食事は本当に気詰まりで……
ま、事情が事情だから仕方ないなと考え、私は黙々と料理を口に運んだ。
そして、ようやくごはんをほぼ食べきった頃、兄さんがぽつりとそんなことを言ったんだ。
「母さんからおまえがすごく痩せてるって聞いてたけど、本当に痩せてたから驚いたよ。
だから、食事もちゃんと採ってないんじゃないかと思ってた。」
「違うよ!
私、食事はきちんと食べてるよ。
ただ、お菓子の量が減って、コーラをやめて…それと規則正しい生活して…あとは前よりよく動くようになったからだと思う。」
兄さんは、私の顔をじっと見て……
そして、ゆっくりと頷いた。
「……確かに、よく動いてたな。
ちょっとびっくりした。」
どういうことですか!?
それじゃあ、以前の私がまるで動かなかったみたいじゃ……って、確かに、前はほとんど動かなかったけど……
「……母さんがとても心配してた。
おまえの様子がおかしいって。
おまえ……母さん達がここに来ることをずっと拒んでるそうじゃないか。
母さんはもしかしたら、おまえに誰か好きな人が出来たんじゃないかとも言ってた。
そのこと自体は悪いことじゃないけど、おまえはそういうことに免疫がないから、相手次第では大変なことになる…
……だから、俺が抜き打ちで見に来たんだ。」
そうか……やっぱり、母さんは気づいてたんだ、私の異変に。
母さんは鋭いから…父さんみたいに簡単には騙せなかったんだ。
「そうだったの……
兄さん…私がシュウと一緒に暮らしてて驚いたと思うけど…
私達、兄さんが考えてるような仲じゃないから。」
「男と女が三ヶ月以上、ひとつ屋根の下にいて、何もないなんてこと、世間が信じると思うか?
しかも、こいつは……おまえのことを愛してると言ったんだぞ。」
「それは……いろいろと深い事情があるの。
でも、本当に私達の間には何もない。
私も……シュウのことは大好きだけど…でも、本当に何もない。」
何もない、何もないって言うのも却って気恥ずかしいもので……
でも、本当に本当のことだから、ここはしっかり言っておかないといけないと思った。
「……すまないが、美幸と二人で話をさせてくれないか?」
「……あ…はい。」
シュウは、言われた通りに席を立ち台所を出て行った。
なんとなく心細くはなったけど、シュウにいやな話を聞かせないですむと思ったら、少しは救われた想いだった。
0
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
不倫妻への鎮魂歌 ―サレ夫が選んだ、最も残酷で静かな復讐―
MisakiNonagase
大衆娯楽
「サレ夫、再生。不倫妻、転落。──その代償は、あまりに重い。」
「嘘で塗り固めた20年より、真実で歩む明日がいい。」
失って初めて気づく、守られていた日々の輝き。
46歳の美香にとって、誠実な夫と二人の息子に囲まれた生活は、退屈で窮屈な「檻」だった。若い男からの甘い誘惑に、彼女は20年の歳月を投げ打って飛び込んだ。 しかし、彼女が捨てたのは「檻」ではなく「聖域」だったのだ。 不倫、発覚、離婚、そして孤独。 かつての「美しい奥様」が、厚化粧で場末のスナックのカウンターに立つまでの足取りと、傷つきながらも真実の幸福を掴み取っていく夫・徹の再生を描く。 家族とは何か、誠実さとは何か。一通の離婚届が、二人の人生を光と影に分かつ。
還暦の性 若い彼との恋愛模様
MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。
そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様。
その後、結婚、そして永遠の別れまでを描いたストーリーです。
全7話
屈辱と愛情
守 秀斗
恋愛
最近、夫の態度がおかしいと思っている妻の名和志穂。25才。仕事で疲れているのかとそっとしておいたのだが、一か月もベッドで抱いてくれない。思い切って、夫に聞いてみると意外な事を言われてしまうのだが……。
17歳男子高生と32歳主婦の境界線
MisakiNonagase
恋愛
32歳の主婦・加恋。冷え切った家庭で孤独に苛まれる彼女を救い出したのは、ネットの向こう側にいた二十歳(はたち)と偽っていた17歳の少年・晴人だった。
「未成年との不倫」という、社会から断罪されるべき背徳。それでも二人は、震える手で未来への約束を交わす。少年が大学生になり、社会人となり、守られる存在から「守る男」へと成長していく中で、加恋は自らの手で「妻」という仮面を脱ぎ捨てていく…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる