赤い流れ星

ルカ(聖夜月ルカ)

文字の大きさ
143 / 171
side ひかり

しおりを挟む
「……母さん、前にも言ったけど……
わかってないのは母さんの方だよ。
シュウはそんな人じゃない。
私を利用しようなんて考えてなんかない。」

私は懸命に怒りを押さえ、出来る限り冷静に話した。



「ああいう男にとって、あんたみたいな純情な子を騙すのは赤子の手をひねるようなものなのよ。
美幸……私はあんたが可愛いから言ってるの。
このままつきあってても、あんたは弄ばれて働かされてお金を取られるだけなのよ。
もっと良い相手がみつかったらきっとあんたなんてすぐに捨てられる……
それがわかっているから、母さんは……」

「やめて!
私とシュウはそんな関係じゃないって言ったでしょ!
確かに、シュウは働いてないけどそれは身元を保証するものがないから雇ってもらえないからよ。
その代わりに、シュウは家のことを全部やっててくれるし…見たでしょ?
家の中があんなに綺麗になったのは全部シュウのおかげなんだよ。
畑だっていつも手入れしてくれてるし、それに……」

母さんは私の言葉を意地悪く鼻で笑った。



「それがああいう男の手なの!
甲斐性のない男ほど、そういうことをやって女の機嫌を取るものなのよ。
あんたはそれにすっかり騙されてる……
あんただけじゃないわ。
あの和彦だって。
あんたはともかく、あの和彦まで騙すなんて、あいつは相当な男よ。
でも、母さんは騙されない。
きっと、あの男には人には言えないような深い事情があるのよ。
あの男といたらあんたは不幸になるだけ。
美幸……あの男とはすぐに別れなさい!」

「いやよ!
私、シュウとは絶対に別れない!
母さんはなにもわかってないのよ!」

私達の声は静かな店内に大きく響いた。
それがわかっていても、私にはその感情を押さえることが出来なかった。
母さんはそんな私を冷やかな目でみつめた。



「あんたを一人にしたのが間違いだった。
こんなことなら、家にいさせれば良かったわ!
美幸、あんたがどんなにいやだと言っても、母さんは許さないわよ。
もちろん、父さんだってね。
あんな男のことはすぐに忘れなさい。
あんたが一人で暮らしたいならこんな田舎じゃなくて、家の近くにマンションでも借りてあげるから、このまま一緒に家に帰りましょう。」

「いやだって言ってるでしょ!
私は絶対に帰らない!」

何を勝手なことを言ってるんだろう!
許さないなら許さないで構わない。
私は、母さんと縁を切ったってシュウとは別れないんだから…!
固い決心を胸に、私は母さんを睨み付けた。



「……そう、わかったわ。
じゃあ、あの男のことを警察に通報します。
得体の知れない男が、家に居座わってるって。」

一瞬、心臓が止まりそうになった。
なんて酷いことを言うんだろう……
シュウは記憶を失ってる兄さんの友人ってことにしてある筈なのに、そんな可哀想な人のことを警察に言うなんて……
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

不倫妻への鎮魂歌 ―サレ夫が選んだ、最も残酷で静かな復讐―

MisakiNonagase
大衆娯楽
「サレ夫、再生。不倫妻、転落。──その代償は、あまりに重い。」 「嘘で塗り固めた20年より、真実で歩む明日がいい。」 失って初めて気づく、守られていた日々の輝き。 46歳の美香にとって、誠実な夫と二人の息子に囲まれた生活は、退屈で窮屈な「檻」だった。若い男からの甘い誘惑に、彼女は20年の歳月を投げ打って飛び込んだ。 しかし、彼女が捨てたのは「檻」ではなく「聖域」だったのだ。 不倫、発覚、離婚、そして孤独。 かつての「美しい奥様」が、厚化粧で場末のスナックのカウンターに立つまでの足取りと、傷つきながらも真実の幸福を掴み取っていく夫・徹の再生を描く。 家族とは何か、誠実さとは何か。一通の離婚届が、二人の人生を光と影に分かつ。

還暦の性 若い彼との恋愛模様

MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。 そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様。 その後、結婚、そして永遠の別れまでを描いたストーリーです。 全7話

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

屈辱と愛情

守 秀斗
恋愛
最近、夫の態度がおかしいと思っている妻の名和志穂。25才。仕事で疲れているのかとそっとしておいたのだが、一か月もベッドで抱いてくれない。思い切って、夫に聞いてみると意外な事を言われてしまうのだが……。

17歳男子高生と32歳主婦の境界線

MisakiNonagase
恋愛
32歳の主婦・加恋。冷え切った家庭で孤独に苛まれる彼女を救い出したのは、ネットの向こう側にいた二十歳(はたち)と偽っていた17歳の少年・晴人だった。 「未成年との不倫」という、社会から断罪されるべき背徳。それでも二人は、震える手で未来への約束を交わす。少年が大学生になり、社会人となり、守られる存在から「守る男」へと成長していく中で、加恋は自らの手で「妻」という仮面を脱ぎ捨てていく…

処理中です...