160 / 171
side ひかり
3
しおりを挟む
*
「おいしかったね!
見た目も可愛かったし……」
「そうだな。
けっこうボリュームもあったからおなかいっぱいになったよ。」
兄さんは用事がまだ片付かないとのことで、夕食はシュウと二人で食べることになった。
きっと兄さんは私とシュウも思い出作りのために気を利かせてくれたんだろう。
そんな余計な気を遣わなくて良いのに……
私は三人で一緒に食べたかったのに……
夕食後、私達はパレードを見に行った。
もう前の方の席は埋まってて後ろの方しかなかったけど、そんなことは別にどうだって良い。
今日の朝からずっと遊んでたことだって、私はうわの空だったんだから。
だけど、そんなことはおくびにも出さず、私はパレードを楽しみにしているふりをした。
シュウもそれは同じだったようで、私達は二人してパレードを待ちわびるカップルを演じてた。
しばらくすると、少し離れた所で大きな歓声があがり、軽やかな音楽と共にあたりが煌びやかなライトで明るく照らし出され、飾ったキャラクターやダンサー達のパレードが始まった。
「わぁ!綺麗だね!」
「すっごいな!」
パレードを見てる皆が弾けるような笑顔だ。
パレードのイルミネーションと同じようにきらきらした瞳で微笑んでいる。
きっとこの中には、私達と同じように心に悩みを抱えてる人もいるだろうけど、今だけはみんなそのことを忘れて夢の世界を楽しんでるんだろうね。
うん…私も少しは楽しまなきゃ…!
「わぁ~い!」
私は車の上のキャラクターに向かって手を振った。
アニメや映画でお馴染みのキャラクターが次々に姿を現す。
(そうだ、シュウも彼らと同じようなもの…ただ…ずっと精巧で…本物だってこと……)
それはとても不思議な感覚だった。
私はそのことをどう理解して良いのかわからなくなって…その想いを頭の中から放り出した。
*
「兄さん、遅いね……」
「もう来るさ。
閉園までには迎えに来るって言ってたから。」
パレードが終わると、客足はずいぶんと少なくなった。
ベンチに腰掛け、ふと携帯をのぞいたら家からの着信が入ってた。
パレードの音に紛れて気付かなかったけど、ついに父さんと母さんは私達が逃げたことを知ったんだ。
私は苦々しい想いで携帯を閉じた。
「どうかした?」
「う、ううん、兄さんから電話入ってないかと思って見ただけ……
本当に遅いよね。」
「きっと、俺達のことで忙しくしてくれてるんだろう。」
「そうだね……」
心配かけたくなかったから。親からの着信のことはシュウには言わずにおいた。
「おいしかったね!
見た目も可愛かったし……」
「そうだな。
けっこうボリュームもあったからおなかいっぱいになったよ。」
兄さんは用事がまだ片付かないとのことで、夕食はシュウと二人で食べることになった。
きっと兄さんは私とシュウも思い出作りのために気を利かせてくれたんだろう。
そんな余計な気を遣わなくて良いのに……
私は三人で一緒に食べたかったのに……
夕食後、私達はパレードを見に行った。
もう前の方の席は埋まってて後ろの方しかなかったけど、そんなことは別にどうだって良い。
今日の朝からずっと遊んでたことだって、私はうわの空だったんだから。
だけど、そんなことはおくびにも出さず、私はパレードを楽しみにしているふりをした。
シュウもそれは同じだったようで、私達は二人してパレードを待ちわびるカップルを演じてた。
しばらくすると、少し離れた所で大きな歓声があがり、軽やかな音楽と共にあたりが煌びやかなライトで明るく照らし出され、飾ったキャラクターやダンサー達のパレードが始まった。
「わぁ!綺麗だね!」
「すっごいな!」
パレードを見てる皆が弾けるような笑顔だ。
パレードのイルミネーションと同じようにきらきらした瞳で微笑んでいる。
きっとこの中には、私達と同じように心に悩みを抱えてる人もいるだろうけど、今だけはみんなそのことを忘れて夢の世界を楽しんでるんだろうね。
うん…私も少しは楽しまなきゃ…!
「わぁ~い!」
私は車の上のキャラクターに向かって手を振った。
アニメや映画でお馴染みのキャラクターが次々に姿を現す。
(そうだ、シュウも彼らと同じようなもの…ただ…ずっと精巧で…本物だってこと……)
それはとても不思議な感覚だった。
私はそのことをどう理解して良いのかわからなくなって…その想いを頭の中から放り出した。
*
「兄さん、遅いね……」
「もう来るさ。
閉園までには迎えに来るって言ってたから。」
パレードが終わると、客足はずいぶんと少なくなった。
ベンチに腰掛け、ふと携帯をのぞいたら家からの着信が入ってた。
パレードの音に紛れて気付かなかったけど、ついに父さんと母さんは私達が逃げたことを知ったんだ。
私は苦々しい想いで携帯を閉じた。
「どうかした?」
「う、ううん、兄さんから電話入ってないかと思って見ただけ……
本当に遅いよね。」
「きっと、俺達のことで忙しくしてくれてるんだろう。」
「そうだね……」
心配かけたくなかったから。親からの着信のことはシュウには言わずにおいた。
0
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
不倫妻への鎮魂歌 ―サレ夫が選んだ、最も残酷で静かな復讐―
MisakiNonagase
大衆娯楽
「サレ夫、再生。不倫妻、転落。──その代償は、あまりに重い。」
「嘘で塗り固めた20年より、真実で歩む明日がいい。」
失って初めて気づく、守られていた日々の輝き。
46歳の美香にとって、誠実な夫と二人の息子に囲まれた生活は、退屈で窮屈な「檻」だった。若い男からの甘い誘惑に、彼女は20年の歳月を投げ打って飛び込んだ。 しかし、彼女が捨てたのは「檻」ではなく「聖域」だったのだ。 不倫、発覚、離婚、そして孤独。 かつての「美しい奥様」が、厚化粧で場末のスナックのカウンターに立つまでの足取りと、傷つきながらも真実の幸福を掴み取っていく夫・徹の再生を描く。 家族とは何か、誠実さとは何か。一通の離婚届が、二人の人生を光と影に分かつ。
還暦の性 若い彼との恋愛模様
MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。
そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様。
その後、結婚、そして永遠の別れまでを描いたストーリーです。
全7話
屈辱と愛情
守 秀斗
恋愛
最近、夫の態度がおかしいと思っている妻の名和志穂。25才。仕事で疲れているのかとそっとしておいたのだが、一か月もベッドで抱いてくれない。思い切って、夫に聞いてみると意外な事を言われてしまうのだが……。
17歳男子高生と32歳主婦の境界線
MisakiNonagase
恋愛
32歳の主婦・加恋。冷え切った家庭で孤独に苛まれる彼女を救い出したのは、ネットの向こう側にいた二十歳(はたち)と偽っていた17歳の少年・晴人だった。
「未成年との不倫」という、社会から断罪されるべき背徳。それでも二人は、震える手で未来への約束を交わす。少年が大学生になり、社会人となり、守られる存在から「守る男」へと成長していく中で、加恋は自らの手で「妻」という仮面を脱ぎ捨てていく…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる