赤い流れ星

ルカ(聖夜月ルカ)

文字の大きさ
171 / 171
side 和彦

しおりを挟む






「ネイサン、どう思う?
君は今の話が信じられるか?」

「カズ、そんなことじゃ僕は驚かないよ。
世界には毎日数え切れない程の奇蹟が起きてるんだから。」

ネイサンの優しい笑顔に、俺の心は癒された。



話すか話さないかはもちろん迷ったが、俺はやはり美幸達のことを自分一人では抱えることが出来なかった。
ネイサンは、スピリチュアルの世界を信じている。
それがわかっているからこそ、俺は、シュウと美幸のすべてを話すことが出来た。



 「ネイサン、ひかりは今シュウと一緒にシュウの世界にいると思うか?」

 「だろうね。
そうとしか思えない。」

 「……正直に話してくれよ。
 美幸とシュウは本当はこの世界のどこかにいて…二人はまさか…その…」

 「自ら命を断つとでも考えてるのか?」

俺がなかなか言い出せなかった言葉をネイサンはあっさりと口にした。



「そんなことはないさ。
二人にそのつもりがあったなら、いくらなんでも財布や携帯くらいは持って行くだろう。
きっと…君の妹がその物語を書いた時点で、二人はシュウの世界に行ったんだと思う。」

「……俺もそう思った。
だけど、冷静になってみると、その考えに自信がなくなったんだ。
だって、シュウがこっちに来たのはカリスタリュギュウス流星群の日だったけど、今日は特になんでもない日だ。
なのに、なぜそんなことが…」

「おそらく……君の妹は自分の書いたストーリーとこの世界がリンクしてることに気付いたんだ。
ストーリーを動かせば、こちらにも何らかの影響が出ると考え…そして成功した。」

普通の人間なら、まともにとりあってもくれないであろう摩訶不思議な事態を、ネイサンはいとも簡単に言ってのけ…そのことがおかしくて俺は失笑してしまった。



 「僕はなにかおかしなことを言ったかい?」

 「いや…君があまりにもあっさりと言うものだから…」

 「カズ…物事の真髄なんてどれも単純で簡単なものだよ。
それをややこしく難しいものにしてるのは、受け取る側の心の問題だ。」

 「ネイサン……」

俺は、ネイサンの言葉に救われた。
そうだ…きっと、そうなんだ。
元々はこの世界での実体を持たないはずのシュウが実体となって現れたんだから、その逆もあって不思議はない。
やっぱり、ひかりは自分で進むべき道を選び、そしてそれに従っただけなんだ。



「ありがとう、ネイサン。
俺も素直に信じることにするよ。」



ひかりとシュウの幸せを…
そして、二人がまたいつかこっちの世界に戻って来る日が来ることを…



しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

不倫妻への鎮魂歌 ―サレ夫が選んだ、最も残酷で静かな復讐―

MisakiNonagase
大衆娯楽
「サレ夫、再生。不倫妻、転落。──その代償は、あまりに重い。」 「嘘で塗り固めた20年より、真実で歩む明日がいい。」 失って初めて気づく、守られていた日々の輝き。 46歳の美香にとって、誠実な夫と二人の息子に囲まれた生活は、退屈で窮屈な「檻」だった。若い男からの甘い誘惑に、彼女は20年の歳月を投げ打って飛び込んだ。 しかし、彼女が捨てたのは「檻」ではなく「聖域」だったのだ。 不倫、発覚、離婚、そして孤独。 かつての「美しい奥様」が、厚化粧で場末のスナックのカウンターに立つまでの足取りと、傷つきながらも真実の幸福を掴み取っていく夫・徹の再生を描く。 家族とは何か、誠実さとは何か。一通の離婚届が、二人の人生を光と影に分かつ。

還暦の性 若い彼との恋愛模様

MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。 そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様。 その後、結婚、そして永遠の別れまでを描いたストーリーです。 全7話

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

屈辱と愛情

守 秀斗
恋愛
最近、夫の態度がおかしいと思っている妻の名和志穂。25才。仕事で疲れているのかとそっとしておいたのだが、一か月もベッドで抱いてくれない。思い切って、夫に聞いてみると意外な事を言われてしまうのだが……。

17歳男子高生と32歳主婦の境界線

MisakiNonagase
恋愛
32歳の主婦・加恋。冷え切った家庭で孤独に苛まれる彼女を救い出したのは、ネットの向こう側にいた二十歳(はたち)と偽っていた17歳の少年・晴人だった。 「未成年との不倫」という、社会から断罪されるべき背徳。それでも二人は、震える手で未来への約束を交わす。少年が大学生になり、社会人となり、守られる存在から「守る男」へと成長していく中で、加恋は自らの手で「妻」という仮面を脱ぎ捨てていく…

処理中です...