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scene 3
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「お前の愚かな行動が、リュタンたちから村を奪ったのだ。どう償うつもりだ」
「それは…」
トレルは答える事ができず、きつく唇を噛みしめる。
失ったものを取り戻す事はできない。
それはトレル自身が一番よく分かっているはずだったのに…。
「お前は過去の過ちを、再び繰り返すつもりだったのか」
「!」
「失う事の辛さを知らぬお前ではなかろうに」
その言葉の重みに、トレルは何も答えられなかった。
自分が間違っていると分かっているからこそ、イアンの言葉が鋭く胸に突き刺さるのだ。
「オルジェを捜す事に必死だったのは知っておる。だが、自分の命と引き換える危険な真似は二度とするんじゃないぞ。いいな…全く、年寄りを心配させおってからに…」
イアンはくしゃりとトレルの頭を撫でた。
「いつまでも子供扱いなんだな」
ぼそり、トレルが言うと、
「世間から見れば大人でも、わしから見ればお前は子供じゃよ。ずっとな」
イアンは笑って答える。
それからポケットを探ると、小さな革の袋を枕元に置いた。
「解毒薬だ。食事の後に飲むといい」
言い残すと、イアンはティンガたちの方へと歩いて行った。
「それは…」
トレルは答える事ができず、きつく唇を噛みしめる。
失ったものを取り戻す事はできない。
それはトレル自身が一番よく分かっているはずだったのに…。
「お前は過去の過ちを、再び繰り返すつもりだったのか」
「!」
「失う事の辛さを知らぬお前ではなかろうに」
その言葉の重みに、トレルは何も答えられなかった。
自分が間違っていると分かっているからこそ、イアンの言葉が鋭く胸に突き刺さるのだ。
「オルジェを捜す事に必死だったのは知っておる。だが、自分の命と引き換える危険な真似は二度とするんじゃないぞ。いいな…全く、年寄りを心配させおってからに…」
イアンはくしゃりとトレルの頭を撫でた。
「いつまでも子供扱いなんだな」
ぼそり、トレルが言うと、
「世間から見れば大人でも、わしから見ればお前は子供じゃよ。ずっとな」
イアンは笑って答える。
それからポケットを探ると、小さな革の袋を枕元に置いた。
「解毒薬だ。食事の後に飲むといい」
言い残すと、イアンはティンガたちの方へと歩いて行った。
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