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scene 4

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「なぁ、リンク!
『暗闇に眠る星』がユフィルにあるってことはないか?!」

オルジェはおもむろに起き上がり、リンクに詰め寄った。

「ユフィル?おまえの故郷のユフィルのことか?」

オルジェは、黙って頭を2度程縦に振った。

「そんなわけないだろ!」

「それがさ…実は、俺の村にあやしい奴が一人いるんだよ!」

「なに?!ユフィルに悪魔らしき奴がいるっていうのか?!」

「…表向きは牧師なんだけど、あいつは悪魔に違いないって奴がいるんだよな…」

「なんだ、それ?」

「イアン牧師って奴なんだけどさ…
オレに足止めの術をかけてたのもそいつなんだ!
たいしたたぬきじじぃなのさ。」

「イアンが足止めの術を…?」

リンクはおかしそうにくすくすと笑っている。

「なんだよ。
イアンが…って、もしかして、リンク、イアン牧師のことを知ってるのか?」

「いや…なんでもない…」

そう言いながら、リンクは腹を抱えて笑いころげていた。



(…なんだよ、変な奴…)



オルジェは、またその場にどっかりと腰を降ろした。

しばらくすると、笑いすぎてこぼれた涙をぬぐいながら、リンクがオルジェの隣にやってきた。

「すまなかったな…
おわびに…と、言っちゃあなんだけど、リュタンの宝について少しだけ教えてやるよ。」

オルジェは、黙って遠くを見ていた。

「前にティンガが話したよな…
妖精の村は最初3つあったことを。
宝は、3つの村に1つづつあったんだ。
さっきも言った通り、これが『海に眠る雫』
そして最初に火を付けられた村にあったのが『暗闇に眠る星』
そして、2番目に火をつけられた村にあったのが『風に眠る炎』なんだ。
『暗闇に眠る星』と『風に眠る炎』は、村の消滅と共に姿を消し、今もその行方はようとしてわからない…」

「…犯人の目星はついてないのか?」

「宝を奪うだけではなく、村に火をつけ妖精達を皆殺しにするような奴だ…
ボク達は、最初、悪魔の仕業じゃないかと考えたが、悪魔には結界を破れない…
つまり…残念なことだが、犯人は人間だってことになる…」

「……そうか…
そんな悪魔みたいな人間がいるんだな…」

(…悪魔みたいな人間…?!)

「そうだ、リンク!
確か、おまえの父さんが村に帰ってきた時に、村に来てた人間が死んでたって言ってたよな?」 
 
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