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エミリア
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「本当?助かるよ!
今日はツイてるな!
君みたいな人と知り合えて、僕は本当にラッキーだよ!」
そう言って屈託のない笑顔を見せたリオを一瞥すると、少女は足元のラルフに視線を落とした。
「この猫……あなたの?」
「うん、そうだよ。
僕の友達……あ、猫なんか店に連れていっちゃまずいかな?」
「猫なんか……だと…?」
「え……?」
ラルフの小さな呟き声に、少女はラルフを見つめたまま足を止めた。
「あ、あれ?どうかしたの?」
愛想笑いを浮かべてしらばっくれるリオに、少女は一瞬戸惑いながらもゆっくりと首を振る。
「……なんでもないわ…
……うちは、そんなこと気にするような店じゃないから大丈夫よ。
もちろん、この鳥もね…」
少女は、そう言ってリオの肩のレヴィを顎で示した。
「ありがとう!……良かったな、レヴィ。
おまえも一緒に入って良いんだって。
本当に良い人と知り合って良かったな!」
「……その鳥、レヴィっていうのね。
じゃ、この猫は?」
「この子はラルフ…それと、僕はリオ。
君は……?」
「……エミリア。」
「エミリア…可愛い名前だね。
よろしくね!エミリア!」
片手を差し出したリオに、エミリアは俯いたままおずおずと手を重ねる。
「ねぇ、エミリア、お店は何時からなの?」
「……特に決まってないわ。」
「そう、じゃあ、早く行こうよ。
僕、お腹減ってるんだ!」
「……ねぇ……どうして何も聞かないの?」
「え……?」
エミリアの質問の意味がわからなかったわけではなかったが、リオは、それをとぼけて受け流した。
二人の間に、何とも言えない気まずい空気が流れる。
「えっと…それは…」
「……なんでもないわ!
さ、早く!
店はこっちよ!」
リオの言いかけた言葉を遮り、エミリアは町の中へ駆け出した。
今日はツイてるな!
君みたいな人と知り合えて、僕は本当にラッキーだよ!」
そう言って屈託のない笑顔を見せたリオを一瞥すると、少女は足元のラルフに視線を落とした。
「この猫……あなたの?」
「うん、そうだよ。
僕の友達……あ、猫なんか店に連れていっちゃまずいかな?」
「猫なんか……だと…?」
「え……?」
ラルフの小さな呟き声に、少女はラルフを見つめたまま足を止めた。
「あ、あれ?どうかしたの?」
愛想笑いを浮かべてしらばっくれるリオに、少女は一瞬戸惑いながらもゆっくりと首を振る。
「……なんでもないわ…
……うちは、そんなこと気にするような店じゃないから大丈夫よ。
もちろん、この鳥もね…」
少女は、そう言ってリオの肩のレヴィを顎で示した。
「ありがとう!……良かったな、レヴィ。
おまえも一緒に入って良いんだって。
本当に良い人と知り合って良かったな!」
「……その鳥、レヴィっていうのね。
じゃ、この猫は?」
「この子はラルフ…それと、僕はリオ。
君は……?」
「……エミリア。」
「エミリア…可愛い名前だね。
よろしくね!エミリア!」
片手を差し出したリオに、エミリアは俯いたままおずおずと手を重ねる。
「ねぇ、エミリア、お店は何時からなの?」
「……特に決まってないわ。」
「そう、じゃあ、早く行こうよ。
僕、お腹減ってるんだ!」
「……ねぇ……どうして何も聞かないの?」
「え……?」
エミリアの質問の意味がわからなかったわけではなかったが、リオは、それをとぼけて受け流した。
二人の間に、何とも言えない気まずい空気が流れる。
「えっと…それは…」
「……なんでもないわ!
さ、早く!
店はこっちよ!」
リオの言いかけた言葉を遮り、エミリアは町の中へ駆け出した。
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