魔法使いの沼地

ルカ(聖夜月ルカ)

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魔法使いの沼地

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「み、皆さん、どうしたんです!?
僕です…リオです…!」

「黙れ!この悪魔め!」

突然飛んできた固い石がリオの額に当たり、真っ赤な血が流れ出した。
リオは短いうめき声を上げ、手の平で額を押さえる。



「今だ、皆、悪魔に石を投げろ!」

「あれは悪魔じゃねぇ!
死んだ兄貴だ!
死んだ兄貴が悪魔となって甦ったんだ!!」

「違う!あれは、うちの姑だよ!
あんたらだって知ってるだろう?
姑が、私に復讐しに来たんだ!」



(皆…一体、何を言ってるんだ…)

村の人々は口々にわけのわからないことを口走る。
それがなぜなのかはリオには見当もつかなかったが、一つだけはっきりとわかったのは、このままこの場所にいたら、殺されるかもしれないということだった。

リオは駆け出した。
荷車を置き、村の外へ駆け出した。
あれほど死ぬ事を望んでいたはずなのに、殺されると感じた瞬間、リオは恐怖にかられその場から逃げ出していた。

後ろも見ずに駆け出した街道で、リオはまた出会った者の悲鳴を受けた。
固く目を閉じ、その場にしゃがみこんだ女性を見て、リオは悟った。
人のいない場所へ行かなくてはならないということを。
リオは街道を避け、裏山を駆け上った。
小さい頃から慣れ親しんだ裏山の様子はよくわかっている。
リオは、咄嗟に頭に浮かんだ、子供の頃、隠れ家としてよく遊んでいた小さな洞窟を目指した。
額から流れる血が、時折、リオの視界を赤く遮る。
誰も追いかけて来る気配はなかったが、それでも何度も後ろを振り向き、誰も来ていない事を確認しながら洞窟の中へ駆けこんだ。
リオは、洞窟の一番奥に座りこむ。
子供の頃にはもう少し広かったような気がしていたが、そこは本当に小さな空間だった。
心臓が飛び出しそうに早く脈を打ち、身体は恐ろしさでガタガタと震える。
村の人々の豹変のわけが、どうしてもわからない。
借金のことを怒っているにしても、あんなことをするような人々ではないことはリオが一番よくわかっていた。



(何があったんだ…一体、何が…)

リオは、自分の身体を両手で抱き締めるようにして縮こまり、まだ少しもおさまらない恐怖に懸命に耐えた。

 
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