59 / 135
サーシャ
1
しおりを挟む
*
「へぇ~!
フレッドから紹介されてここに人が来るなんて、初めての事だよ。」
本当の年はわからないが、サーシャはリオと同世代に見える若い女だった。
声や仕草が大きく、それだけでも快活な印象を感じさせる女性だ。
「あの…実は僕…」
「あんた、魔法使いじゃないよね?
でも、なんだか変な感じがする。
……この猫ちゃんやこの小鳥ちゃんも…」
サーシャは、もごもごと呟かれたリオの言葉を無視し、リオやラルフ達をみつめては自分の感想を述べた。
「さすがに鋭いな。
その通り、俺達は、皆、わけありなんだ。」
「えっ…!?
な~るほど、あんたは言葉がしゃべれるんだね!
こんなかわいい顔して、なにが『俺』だ!」
そう言ったかと思うと、サーシャはラルフの身体を抱き上げ乱暴にあご先でその頭をさする。
ラルフはそれに気持ち良さそうに目を細め、サーシャにされるがままになっていた。
「あぁ、やっぱり猫は良いね。
やわらかくって温かくって…
可愛い、可愛い!」
サーシャはよほど猫が好きなのか、なかなかラルフを離そうとはしなかった。
その様子を、リオはただ呆然と立ち尽し、見守っていた。
シューラルフィールのことを早く聞きたいのは山々だったのだが、今のサーシャには何を言っても聞いてもらえないということがリオには十分に予想出来たから。
「あたし、この猫がすごく気に入った!
ねぇ、この猫、あたしにおくれよ!」
「えっ!?」
突然のサーシャの申し出に、リオはおかしな声で問い返す。
「おいおい、俺は普通の猫じゃないんだぞ。
住む場所も俺が自分で決めるんだ。
俺は、当分、リオと一緒に旅をするって決めてるから、そいつは無理な話だな。
さ、いいかげん降ろしてくれ!」
「ええーーーー…
そうなの?
残念だな、あんたみたいに可愛い猫、めったにいないのに…」
言葉とは裏腹に、サーシャはラルフに言われた通り、彼の身体を床に降ろした。
「ね、でも、何日かはここに泊まっていきなよ。
ね?ね?
何か食べるかい?
あ、そういえば、そろそろ昼だね。
……あ、あんた、何か作ってくれない?
あたし、猫ちゃんとまだ話があるんだ。」
「え…ぼ、僕が、作るんですか?」
「台所にあるもので、何か適当に作ってよ。
あ、猫ちゃんの分もね!」
そう言うと、サーシャは再びラルフを抱き上げ、長椅子に腰を降ろした。
リオはそんなサーシャに諦めの視線を投げかけながら、バッグとレヴィをテーブルに置くと、渋々台所へと向かった。
「へぇ~!
フレッドから紹介されてここに人が来るなんて、初めての事だよ。」
本当の年はわからないが、サーシャはリオと同世代に見える若い女だった。
声や仕草が大きく、それだけでも快活な印象を感じさせる女性だ。
「あの…実は僕…」
「あんた、魔法使いじゃないよね?
でも、なんだか変な感じがする。
……この猫ちゃんやこの小鳥ちゃんも…」
サーシャは、もごもごと呟かれたリオの言葉を無視し、リオやラルフ達をみつめては自分の感想を述べた。
「さすがに鋭いな。
その通り、俺達は、皆、わけありなんだ。」
「えっ…!?
な~るほど、あんたは言葉がしゃべれるんだね!
こんなかわいい顔して、なにが『俺』だ!」
そう言ったかと思うと、サーシャはラルフの身体を抱き上げ乱暴にあご先でその頭をさする。
ラルフはそれに気持ち良さそうに目を細め、サーシャにされるがままになっていた。
「あぁ、やっぱり猫は良いね。
やわらかくって温かくって…
可愛い、可愛い!」
サーシャはよほど猫が好きなのか、なかなかラルフを離そうとはしなかった。
その様子を、リオはただ呆然と立ち尽し、見守っていた。
シューラルフィールのことを早く聞きたいのは山々だったのだが、今のサーシャには何を言っても聞いてもらえないということがリオには十分に予想出来たから。
「あたし、この猫がすごく気に入った!
ねぇ、この猫、あたしにおくれよ!」
「えっ!?」
突然のサーシャの申し出に、リオはおかしな声で問い返す。
「おいおい、俺は普通の猫じゃないんだぞ。
住む場所も俺が自分で決めるんだ。
俺は、当分、リオと一緒に旅をするって決めてるから、そいつは無理な話だな。
さ、いいかげん降ろしてくれ!」
「ええーーーー…
そうなの?
残念だな、あんたみたいに可愛い猫、めったにいないのに…」
言葉とは裏腹に、サーシャはラルフに言われた通り、彼の身体を床に降ろした。
「ね、でも、何日かはここに泊まっていきなよ。
ね?ね?
何か食べるかい?
あ、そういえば、そろそろ昼だね。
……あ、あんた、何か作ってくれない?
あたし、猫ちゃんとまだ話があるんだ。」
「え…ぼ、僕が、作るんですか?」
「台所にあるもので、何か適当に作ってよ。
あ、猫ちゃんの分もね!」
そう言うと、サーシャは再びラルフを抱き上げ、長椅子に腰を降ろした。
リオはそんなサーシャに諦めの視線を投げかけながら、バッグとレヴィをテーブルに置くと、渋々台所へと向かった。
0
あなたにおすすめの小説
夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い
青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。
神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。
もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。
生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。
過去世と同じ轍を踏みたくない……
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
思いを込めてあなたに贈る
あんど もあ
ファンタジー
ファナの母が亡くなった二ヶ月後に、父は新しい妻とその妻との間に生まれた赤ん坊を家に連れて来た。義母は、お前はもうこの家の後継者では無いと母から受け継いだ家宝のネックレスを奪うが、そのネックレスは……。
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
つまらない妃と呼ばれた日
柴田はつみ
恋愛
公爵令嬢リーシャは政略結婚で王妃に迎えられる。だが国王レオニスの隣には、幼馴染のセレスが“当然”のように立っていた。祝宴の夜、リーシャは国王が「つまらない妃だ」と語る声を聞いてしまい、心を閉ざす。
舞踏会で差し出された手を取らず、王弟アドリアンの助けで踊ったことで、噂は一気に燃え上がる――「王妃は王弟と」「国王の本命は幼馴染」と。
さらに宰相は儀礼と世論を操り、王妃を孤立させる策略を進める。監視の影、届かない贈り物、すり替えられた言葉、そして“白薔薇の香”が事件現場に残る冤罪の罠。
リーシャは微笑を鎧に「今日から、王の隣に立たない」と決めるが、距離を取るほど誤解は確定し、王宮は二人を引き裂いていく。
――つまらない妃とは、いったい誰が作ったのか。真実が露わになった時、失われた“隣”は戻るのか。
「がっかりです」——その一言で終わる夫婦が、王宮にはある
柴田はつみ
恋愛
妃の席を踏みにじったのは令嬢——けれど妃の心を折ったのは、夫のたった一言だった
王太子妃リディアの唯一の安らぎは、王太子アーヴィンと交わす午後の茶会。だが新しく王宮に出入りする伯爵令嬢ミレーユは、妃の席に先に座り、殿下を私的に呼び、距離感のない振る舞いを重ねる。
リディアは王宮の礼節としてその場で正す——正しいはずだった。けれど夫は「リディア、そこまで言わなくても……」と、妃を止めた。
「わかりました。あなたには、がっかりです」
微笑んで去ったその日から、夫婦の茶会は終わる。沈黙の王宮で、言葉を失った王太子は、初めて“追う”ことを選ぶが——遅すぎた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる