魔法使いの沼地

ルカ(聖夜月ルカ)

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ジョン

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アンドリューは、目の前のラルフから視線を逸らしてそっと俯き、小さな声で話し始めた。



「俺…本当によくわかったんだ。
嘘ばかり吐いてたら、誰のことも信じられなくなって、そして真実にも気付かなくなるっていうおまえの言葉…
本当だったよ。
俺は、とても大切なことを、ついさっきまで知らずにいたんだ…本当に馬鹿だった…」

「……ま、馬鹿だったってことに気付いたんならそれで良いんじゃないか?
結局、おまえは弱かったんだ。
嘘を吐くのはな、自分が弱いからなんだ。
だが、幼いおまえが強い者に対抗するには、嘘しか武器がなかったのかもしれないな。
嘘で鎧を作り、壁を築き、その中で隠れてたんだな。
そこしか安心出来る場所がなかったんだろう…
それは仕方のないことだったのかもしれない。
だけど、ずっとそのままじゃいけないな。
考えてもみろ。
おまえは、十七の時から何年もかかって借金を返しただけじゃなく、畑まで手に入れた。
これはすごいことだぞ。
借金を放っぽって逃げることも出来たのに、おまえはそうはせず、歯を食いしばってそれをやり遂げたんだぜ。
おまえはもう弱虫の子供じゃない。
嘘って武器を持たなくても、十分に生きていける強さを身に付けてるんだ。
だから、もうおまえには嘘は必要ない…わかるよな?」

「ね…猫のくせに……」

アンドリューはさらに深く俯き、伸ばした片手でラルフの前足をそっと掴む。



「……ありがとう。
おまえの言う通りだ。
良かったよ…俺…ウォルフボーラスやおまえに会えて、感謝してる。
本当にありがとう……」

「おまえが掴むのは俺の手じゃなくて、こっちだろ?」

ラルフの視線を受け、スージーはそっと手を伸ばした。



「ジョン…あの…」

「スージー…」

アンドリューはスージーの手を強く握り、すっくと顔を上げた。



「スージー、今まで言えなかったけど…
こんな俺を見捨てずにいてくれてありがとう。
……良かったら……良かったら、これからも俺の傍にいてくれ。」

「……え?」

「畑を売って、この先の町で小さくても良いから家を借りて二人で住もう。
俺…一生懸命に働くよ。」

「ええっっ!」

スージーは驚きの声を上げ、真っ赤になった頬に両手を添える。



「アンドリュー、いくらなんでも急過ぎじゃないのか?」

「え?……そ、そうか?
ご、ごめん、俺、こういうこと、慣れてなくて…あの…その…思ったことをそのまんま…」

焦ってしどろもどろに呟くアンドリューをみつめながら、スージーは幸せそうな笑みを浮かべた。

 
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