上 下
227 / 365
久しぶりのシュバルツのライブなのです!

33

しおりを挟む
「瑠威…恋愛の傷は悪いことばかりじゃないわ。
その傷から得ることだってあるのよ。」

ママが静かな声で話した。



 「それに、若いうちは傷の治りだって早いものよ。
 正直言って、望結には深く傷付く恋はしてほしくないけど…
でも、好きになってしまったら仕方ないわよね。
ただ、もしも、恋をして、傷ついてしまったら…
その時はママや瑠威を頼って。
 決して、一人で抱え込んだりはしないでね。
 私達はどんな時でも、必ずあなたの味方だから…」

 「ママ……」

 瑠威は、小さなため息を吐いて苦笑いを浮かべた。



 「その通りだ。
だけど、俺はやっぱりミュージシャンと付き合うことは反対だ。
さゆみちゃんのことは、お前に任せるけど…
でも、おまえが、ミュージシャンと付き合うなんて言い出したら、絶対に反対するからな!」

 「そんなことあるわけないでしょ!
 私は、ライブに行くのが楽しいだけだよ。
そりゃあ、打ち上げも興味あるけど、メンバーさんに本気になるようなことは絶対ないって!」

 私、自分に自信ないし、そんなこと無理だって十分わかってるから。



 「それなら良いけど…
とにかく、あんまり深入りはするなよ。
うまいこと言われても、のこのこついて行くんじゃないぞ。」

 「わかってるよ、そんなこと。」

そう言いながら、ちょっと罪悪感を感じた。
のこのこも何も、もう一緒にハイキングに行ってしまったなんて言ったら、絶対、瑠威は怒るよね。
でも、付き合ってるとか、そういうのじゃないもん。



 (ただのハイキング同好会だもん…)
しおりを挟む

処理中です...