上 下
257 / 365
『瓢箪から駒』ってやつでしょうか?

22

しおりを挟む




 「よく頑張ったわね!
とてもよく出来てるわ。」

 「どうもありがとうございます。
おばさまにいろいろ教えていただいたおかげです。」



リクさんの衣装が着せられたマネキンの前で、私達は満ち足りた気分を感じていた。
 自分で言うのもなんだけど、私達、すっごく頑張ったもん。
 午前中は講義に出て、午後からはひたすら衣装を作って、それからは私は藤堂さんのバイトも行ったし、さゆみだって、喫茶店の手伝いをして…
頑張った甲斐があって、すっごく格好良いものが仕上がった!
シュバルツの衣装だって言っても、きっと信じてもらえるくらいにゴージャスな衣装だ。



 「やっぱりこの刺繍は入れて正解だったわね。
すごく映えてるわ。」



 確かにそうだよ。
 滑らかな黒のベルベットに、鮮やかな青の薔薇と緑の葉が際立って、ラインにはゴールドを使ってるから、本当に格好良い仕上がりだ。
これを私達が作ったなんて、今でも信じられない。
でも…やっぱりそれはママのおかげだ。
 衣装は形だけ格好良くてもだめだって教えてくれた。
 瑠威もリクさんもステージではよく動くから、動きやすいようにいろいろなところにダーツを取ったり、スリットを入れたりしてあって…そういうことは私達だけでは絶対に出来なかったと思う。



 「リク、絶対に喜ぶわ。」

 「そうだと嬉しいんですが…」

 「あら?自信ないの?」

 「そういうわけじゃないんですけど…」



さゆみはいろいろな角度から衣装の画像を撮った。
そして、衣装を丁寧に包んで、私達はママのお店を後にした。
しおりを挟む

処理中です...