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どうにもこうにもパニックなのです!

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「仕方ない。だったら、今、言ってやるよ。
え~…おまえの危なっかしいところが好きだ。
 頼りなくて…守ってやりたくなる。
それに、家庭的なところも好きだ。
あ、おまえの持ってる雰囲気が好きだ。
おまえと一緒にいたら、自然とリラックスして笑ってしまう…」

リクさんの言葉が嬉しくなかったわけじゃない。 
 守ってやりたいなんて…リクさんがそんなこと思っててくれたなんて…きゅんと来たよ。
でも……今の言葉でさゆみがどれだけ傷付いたかと思ったら…
なんだかどうしようもない気分になってしまって、私は思わず涙を流してた。 



 「おい、なんで泣くんだよ。」

 「リクさん
酷いよ…今、そんなこと言わなくても…」

 「何が酷いんだよ。」

リクさんの馬鹿。
やっぱりこの人、デリカシーってもんが欠けてる。
さゆみのこと、全然考えてないんだ…



「……璃愛…私なら大丈夫だから。」

 「さゆみ…」

 「わかったよ……あんた、私がリクさんのこと好きなの知ってるから…だから、返事出来なかったんだね?」

 「ち…違う!」

 私は思いっきり頭を振った。



 「良いって。私のことなら気を遣わないで、リクさんに返事してあげて。」

さゆみの気持ちを考えると、辛くて切なくて…
私は何も言えずに泣きながらさっきと同じように首を振り続けた。



 「私は遠慮されたり同情される方が辛いよ!!」

さゆみの大きな声に、背中がびくんと波打った。



 「おまえ…そんなこと気にしてたのか?」

リクさん…どこまで無神経なんだろう。
さゆみの気持ち…全然わかってない!
 私はもう完全に理性を失ってしまって、子供みたいに泣きじゃくることしか出来なかった。
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