1ページ劇場③

ルカ(聖夜月ルカ)

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溜め息

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「はぁ~~…」



これで、今日何度目の溜め息だろう。
 溜め息を吐くと幸せが逃げるなんて言うけど、そんなこと、気になんてしてられるか。



 僕の溜め息の原因は春休みだ。
 明日から息子は春休み。 
そりゃあ、夏休みに比べればまだ短いけど、16日もの休みが短いなんて言えない。 
 明日からのことを考えるだけで、どっと疲れる。 



 今の僕は主夫だ。 
 元々、妻とは結婚したら専業主婦になるという約束だったんだけど、妻は仕事をやめなかった。
 蓮が生まれた後、二人でもう一度話し合い、妻が仕事に復帰する条件として、働くのは二人目が出来るまでとした。 
しかし、その間は家事も一切しなくて良くて、僕が専業主夫となって家庭を守るということになったんだ。 



 僕の主夫生活も気が付けば早や三年… 
彼女が子育てに専念してくれたのは、蓮が幼稚園児の頃までだった。 
 蓮が小学校に通うようになった頃から、妻は仕事に復帰し、僕は主夫になった。 
 最近では家事にも慣れたとはいえ、子供が休みの時の大変さは身にしみてわかっている。



いつもなら、昼間は一人だから適当なもので済ませるけど、子供が休みの間はそうはいかない。 
 毎日、三食きちんと作らなきゃならないんだ。 
それだけじゃない。 
 家事をしている間にも、蓮が何かと邪魔をするからなかなかはかどらないし、休みとなれば、子供は必ずどこかへ連れて行けと言う。
そんなわけで、疲れは倍増。
だが、僕には早く休みが終われと祈ることしか出来ない。
 溜め息くらい吐いたって、良いだろう。 



 「パパ!明日はどこに行く?」

 「明日か…う~ん、明日は…ほら、おまえも宿題があるだろ?」

 「ないよ!」

 「え…そ、そっか。」

 「動物園?それとも水族館?」

 「う~ん…明日のことは明日決めようか。」

のらりくらりと話をはぐらかせる。 



こんな調子で16日間乗りきれるのか? 
カレンダーを見ながら、僕はまた溜め息を吐いた。

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