1ページ劇場③

ルカ(聖夜月ルカ)

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桜の下で

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「さて、そろそろ、あれやるぞ!」



 頬を赤く染めた宮崎部長がついにその言葉を口にした。



 (あ~あ…)



うんざりはするものの、しがないサラリーマンの俺にはこれも仕事の一部だと諦めるしかなかった。



 「じゃあ、こっちから行くぞ。」



 宮崎部長は、おかしな仕草を始めた。
そう、これは宮崎部長のお気に入りの伝達ゲームだ。
 宮崎部長が考えたお題を、ジェスチャーで次々に伝えていき、最後にどんなふうに伝わるか?というゲームだ。
はっきり言って、それを楽しんでいるのは宮崎部長だけだと思う。



こんなに綺麗な桜の花の下、しかも、他の見物客に笑われながら、なんでこんなしょーもないゲームをやらなきゃならんのだ!?



 「ほら、大野!
ジェスチャーはもっと大袈裟にやらないと伝わらないぞ!」

 「は、はい。」



だから恥ずかしいんだって。
あ~あ、あと少しで俺の番だ…



なになに?あの仕草は女性か?
 女が、何かを食べて…え?なにかをかぶるのか?



お題がよくわからないまま、俺の番が来た。
 仕方なく、俺は前の吉田がやった通りに真似をした。



そして、ようやく最後の太田の番が終わった。



 「太田、お題はなんだ?」

 「えっと、ヘルメットをかぶった女性が、食べ過ぎてお腹いっぱいになった…でしょうか?」

 「ブッブー!」

 宮崎部長は、得意満面で人差し指を揺らす。



 「これはヘルメットじゃなくて、おかまだ。
つまり、おかまで炊いたごはんを食べるおかま…が、正解だ!」

 宮崎社長は大笑いしている。
 仕方なく、俺達も無理して愛想笑いを浮かべた。



 「さ、じゃあ、次のお題いくぞ!」



はしゃぐ宮崎部長に、もうやめましょう!と言えるやつ等いない。
 俺はビールをぐいとあおった。
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