1ページ劇場③

ルカ(聖夜月ルカ)

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世界で一番暑い日

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(おっ!ピッタリだな。)



 時計は11時ちょうどを指している。 
 玄関のドアをノックをするのは村田に違いない。 
 俺は立ち上がり、玄関に向かった。
 狭いから、歩いて十歩もしないうち、すぐにたどり着く。 



 「よっ!時間通りだな。」

 立っていたのは予想通り、村田だった。



 「俺は几帳面だからな。あぁ、暑かった!」 

 村田はずかずかと部屋に入り、扇風機の前に腰を降ろした。 
 俺は冷蔵庫の麦茶を村田に出してやった。
 村田はそれをぐびぐびと飲み干し、村田の顔からは玉の汗が吹き出す。



 「今年は酷い暑さだな。」

 「確かにな…」

 「ここに来るまでに、1リットルくらい汗が出たぞ。」

 村田の家からうちまでは自転車で約30分。
この暑さの中を走って来たのだから、大げさとも言えない。



 「鍋食べたら、また汗が出るぜ。」

 「おぅよっ!腹が膨れるからだ丈夫だ。」



 俺は立ち上がり、村田も汗を拭いて俺の後に続いた。
テーブルの上にカセットコンロを置き、その上に鍋を乗せる。



 「しっかし、本当に親切だよな。」

 「そうなんだ。お陰で助かるよ。」

 俺の働く工場の上司が、昨日、暑いから精をつけろって、キムチ鍋の材料とこのカセットコンロをくれたんだ。 
 暑い時には熱いものを食べて汗をかけって。 
しかも、その材料はとても一人じゃ食べきれない感じの量だったから、俺は友人の村田を誘った。 



 野菜や肉を切り、鍋にぶちこむ。



 「良いにおいだなぁ…」

 村田のいう通りだ。 
だけど、鍋の熱気で汗が流れて来た。



 「あ、雨だ…」

 「降る前に来て良かった~…」

 急に降り出した雨を、窓から見上げた。



 「そろそろ煮えて来たようだな…」

 「そうだな。」



 俺達は鍋を口に運んだ。 
 暑さと辛さのせいで、汗が噴き出す。
でも、うまい!
 俺達は鍋を食べ続けた。



 「あ~っ!」



 大きな音と共に、急に電気が消えた。 
 落雷のための停電だ。 
 扇風機が止まると、さらに汗が吹き出す。 



 「あ…暑いな…」

 「確かに…」



それでも、俺達は、キムチ鍋を食べ続けた。 
すでに全身が汗まみれだ。
 汗が目に染みて痛い。 



 「俺…なんだか頭がぼーっとしてきた。」

 「俺も…」



 今この部屋は、50℃を軽く越えているはずだ。 
いや、もっとかもしれない。 
もしかしたら、世界で一番暑いかもしれない…

 
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