1ページ劇場③

ルカ(聖夜月ルカ)

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ワイルドな天使

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(夢じゃないよな?)



 俺の隣にいるのは、絶世の美女、片岡瑠奈。
さっき、知り合ったばかりの彼女が、俺にしなだれかかりながら歩いてる今の状況が、まだ現実なのか夢なのかよくわからない。
 今一度、ちらりと彼女の横顔をのぞく。



 (はぁ……)



なんて綺麗なんだ…まさにこの世の天使だ。
 思わずため息が出てしまう。
こんな美女、俺の故郷にはいなかった。



やっぱり、これは夢じゃないだろうか?
いや、伝わって来る彼女の腕の温もりは現実だ。
きっと、今日は俺の人生できっと最良の日なんだ。



 俺は、今日、生まれて初めての合コンに参加した。
そこにいたのが、片岡瑠奈だ。
こんな綺麗な子が合コンなんて…って思ったけど、意外にも彼女たちも初めての合コンだったらしい。
 見た目とは違って、初心な子たちだった。
 俺達は、話も合い、とても盛り上がった。



 俺がトイレに立った時、ちょうど片岡瑠奈もトイレに行ってて…
その時、耳元で囁かれたんだ。



 「なんだか、頭痛がするの…
どこか静かなところでゆっくりしたいわ…」



その言葉を聞いた時、俺は心臓が口から飛び出しそうになった。
いくら田舎者の俺だって、この言葉の意味はわかる。
つまり、彼女は俺を気に入ってくれたってことだ。
それは間違いない。
 現に今、彼女の足はラブホのある方向へ向かってる。



どういうきっかけだったとしても、肝心なのはそれからのことだ。
 俺は、本気で片岡瑠奈と付き合うつもりだし、もちろん大切にするつもりだ。



 (エッチから始まる恋愛なんて、珍しくないさ…)



そう、きっと、それが都会の恋愛の仕方なんだ。
その間にも俺達は歩き続け、ラブホが見えて来た時のことだった。



 「ひとし!」

 振り向くとそこには、俺と同じテニスサークルの小林がいて…
小林が俺に近付いて来たかと思うと…



「えっ!?」

 俺はいきなり小林に強烈なびんたをくらわされ、俺だけじゃなく片岡瑠奈も呆然としていた。



 「私というものがありながら、何してんのよ!
さ、帰るわよ!」

 小林は俺の腕を引っ張っていく。
 大きく目を見開いた片岡瑠奈をその場に残して…



あまりに突然で強烈だったから、俺は小林のなすがままにされていたけど、しばらくして、はっと我に返った。



 「ど、どういうことだよ!」

 「良いから…とりあえず、そこのベンチで話そ。」



 機嫌の悪い俺を、小林は公園のベンチに引っ張って行った。
そこで、俺は小林からとんでもない話を聞かされた。



 今日、合コンをした女子達は、大学では有名な悪女たちで、美人局が常套手段なのだと。



 「えっ!?ま、まさか、あの片岡瑠奈が…」

 「嘘だと思うなら、明日にでも被害者を紹介してあげるわ。」



 確かに、あんな美人が俺みたいな男を好きになるのはおかしいし、合コンが初めてだと言いながら、会ったばかりの男をホテルに誘うのは大胆過ぎる。



 「そっか…そういうことだったのか…」

がっくりとうなだれた俺の肩を、小林が景気良く叩く。



 「なに凹んでるのよ。都会には悪い奴がいるから、気をつけなさいよ。
でも、間に合って良かったわ。」

 確かに助かった。
でも、やはりショックは大きい。



 「あ~あ、なんて顔してんのよ。
これでも食べて元気出して。」

 小林は、ポケットからビスケットを取り出した。
 俺は素直にそれを一口かじった。
 甘いビスケットなのに、俺にはなんだかほろ苦く感じられた。
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