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ワイルドな天使
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(夢じゃないよな?)
俺の隣にいるのは、絶世の美女、片岡瑠奈。
さっき、知り合ったばかりの彼女が、俺にしなだれかかりながら歩いてる今の状況が、まだ現実なのか夢なのかよくわからない。
今一度、ちらりと彼女の横顔をのぞく。
(はぁ……)
なんて綺麗なんだ…まさにこの世の天使だ。
思わずため息が出てしまう。
こんな美女、俺の故郷にはいなかった。
やっぱり、これは夢じゃないだろうか?
いや、伝わって来る彼女の腕の温もりは現実だ。
きっと、今日は俺の人生できっと最良の日なんだ。
俺は、今日、生まれて初めての合コンに参加した。
そこにいたのが、片岡瑠奈だ。
こんな綺麗な子が合コンなんて…って思ったけど、意外にも彼女たちも初めての合コンだったらしい。
見た目とは違って、初心な子たちだった。
俺達は、話も合い、とても盛り上がった。
俺がトイレに立った時、ちょうど片岡瑠奈もトイレに行ってて…
その時、耳元で囁かれたんだ。
「なんだか、頭痛がするの…
どこか静かなところでゆっくりしたいわ…」
その言葉を聞いた時、俺は心臓が口から飛び出しそうになった。
いくら田舎者の俺だって、この言葉の意味はわかる。
つまり、彼女は俺を気に入ってくれたってことだ。
それは間違いない。
現に今、彼女の足はラブホのある方向へ向かってる。
どういうきっかけだったとしても、肝心なのはそれからのことだ。
俺は、本気で片岡瑠奈と付き合うつもりだし、もちろん大切にするつもりだ。
(エッチから始まる恋愛なんて、珍しくないさ…)
そう、きっと、それが都会の恋愛の仕方なんだ。
その間にも俺達は歩き続け、ラブホが見えて来た時のことだった。
「ひとし!」
振り向くとそこには、俺と同じテニスサークルの小林がいて…
小林が俺に近付いて来たかと思うと…
「えっ!?」
俺はいきなり小林に強烈なびんたをくらわされ、俺だけじゃなく片岡瑠奈も呆然としていた。
「私というものがありながら、何してんのよ!
さ、帰るわよ!」
小林は俺の腕を引っ張っていく。
大きく目を見開いた片岡瑠奈をその場に残して…
あまりに突然で強烈だったから、俺は小林のなすがままにされていたけど、しばらくして、はっと我に返った。
「ど、どういうことだよ!」
「良いから…とりあえず、そこのベンチで話そ。」
機嫌の悪い俺を、小林は公園のベンチに引っ張って行った。
そこで、俺は小林からとんでもない話を聞かされた。
今日、合コンをした女子達は、大学では有名な悪女たちで、美人局が常套手段なのだと。
「えっ!?ま、まさか、あの片岡瑠奈が…」
「嘘だと思うなら、明日にでも被害者を紹介してあげるわ。」
確かに、あんな美人が俺みたいな男を好きになるのはおかしいし、合コンが初めてだと言いながら、会ったばかりの男をホテルに誘うのは大胆過ぎる。
「そっか…そういうことだったのか…」
がっくりとうなだれた俺の肩を、小林が景気良く叩く。
「なに凹んでるのよ。都会には悪い奴がいるから、気をつけなさいよ。
でも、間に合って良かったわ。」
確かに助かった。
でも、やはりショックは大きい。
「あ~あ、なんて顔してんのよ。
これでも食べて元気出して。」
小林は、ポケットからビスケットを取り出した。
俺は素直にそれを一口かじった。
甘いビスケットなのに、俺にはなんだかほろ苦く感じられた。
俺の隣にいるのは、絶世の美女、片岡瑠奈。
さっき、知り合ったばかりの彼女が、俺にしなだれかかりながら歩いてる今の状況が、まだ現実なのか夢なのかよくわからない。
今一度、ちらりと彼女の横顔をのぞく。
(はぁ……)
なんて綺麗なんだ…まさにこの世の天使だ。
思わずため息が出てしまう。
こんな美女、俺の故郷にはいなかった。
やっぱり、これは夢じゃないだろうか?
いや、伝わって来る彼女の腕の温もりは現実だ。
きっと、今日は俺の人生できっと最良の日なんだ。
俺は、今日、生まれて初めての合コンに参加した。
そこにいたのが、片岡瑠奈だ。
こんな綺麗な子が合コンなんて…って思ったけど、意外にも彼女たちも初めての合コンだったらしい。
見た目とは違って、初心な子たちだった。
俺達は、話も合い、とても盛り上がった。
俺がトイレに立った時、ちょうど片岡瑠奈もトイレに行ってて…
その時、耳元で囁かれたんだ。
「なんだか、頭痛がするの…
どこか静かなところでゆっくりしたいわ…」
その言葉を聞いた時、俺は心臓が口から飛び出しそうになった。
いくら田舎者の俺だって、この言葉の意味はわかる。
つまり、彼女は俺を気に入ってくれたってことだ。
それは間違いない。
現に今、彼女の足はラブホのある方向へ向かってる。
どういうきっかけだったとしても、肝心なのはそれからのことだ。
俺は、本気で片岡瑠奈と付き合うつもりだし、もちろん大切にするつもりだ。
(エッチから始まる恋愛なんて、珍しくないさ…)
そう、きっと、それが都会の恋愛の仕方なんだ。
その間にも俺達は歩き続け、ラブホが見えて来た時のことだった。
「ひとし!」
振り向くとそこには、俺と同じテニスサークルの小林がいて…
小林が俺に近付いて来たかと思うと…
「えっ!?」
俺はいきなり小林に強烈なびんたをくらわされ、俺だけじゃなく片岡瑠奈も呆然としていた。
「私というものがありながら、何してんのよ!
さ、帰るわよ!」
小林は俺の腕を引っ張っていく。
大きく目を見開いた片岡瑠奈をその場に残して…
あまりに突然で強烈だったから、俺は小林のなすがままにされていたけど、しばらくして、はっと我に返った。
「ど、どういうことだよ!」
「良いから…とりあえず、そこのベンチで話そ。」
機嫌の悪い俺を、小林は公園のベンチに引っ張って行った。
そこで、俺は小林からとんでもない話を聞かされた。
今日、合コンをした女子達は、大学では有名な悪女たちで、美人局が常套手段なのだと。
「えっ!?ま、まさか、あの片岡瑠奈が…」
「嘘だと思うなら、明日にでも被害者を紹介してあげるわ。」
確かに、あんな美人が俺みたいな男を好きになるのはおかしいし、合コンが初めてだと言いながら、会ったばかりの男をホテルに誘うのは大胆過ぎる。
「そっか…そういうことだったのか…」
がっくりとうなだれた俺の肩を、小林が景気良く叩く。
「なに凹んでるのよ。都会には悪い奴がいるから、気をつけなさいよ。
でも、間に合って良かったわ。」
確かに助かった。
でも、やはりショックは大きい。
「あ~あ、なんて顔してんのよ。
これでも食べて元気出して。」
小林は、ポケットからビスケットを取り出した。
俺は素直にそれを一口かじった。
甘いビスケットなのに、俺にはなんだかほろ苦く感じられた。
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