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「8、9、10、11…と。
よし、これでOK。」
テーブルの上には、真っ赤ないちごが目を引くケーキ。
私は、ケーキの上に11本のろうそくを丸く並べた。
季節の花やご馳走も準備した。
彼の好きなハンバーグとからあげとお肉たっぷりのコロッケ…
茶色ばっかりなのが、少し気になるけど、彼の好きなものだから仕方がない。
後は彼が帰って来るのを待つばかり。
柱時計に目を遣る。
あと少しで彼は帰って来るはずだ。
そんなことを考えるだけで胸が弾む。
玄関のチャイムが鳴った。
私はまるで子犬のように、玄関に向かって走って行った。
*
「どう?美味しい?」
「あぁ、うまいよ。美鈴は本当に料理がうまいな。」
ほめられて、私はますます嬉しくなる。
私にしっぽがあったら、きっと千切れるほど振ってるだろう。
二人で食事をして、お酒を飲んで…
そして、激しく愛し合って…
私は、幸せを噛み締める。
*
「う…ん…」
差し込む眩しい光に、私は開きかけた目を閉じた。
この瞬間が一番嫌い。
幸せの魔法が切れる時だから。
「じゃあ、また来年ね。」
「……うん。」
「愛してるよ、美鈴。」
その言葉が本心なのかどうかはわからない。
彼は、私が怖くてそんなことを言ってるのかもしれない。
彼と知り合った時、私は運命の人だと直感した。
だけど、彼にはすでに奥さんがいた。
それでも、私は彼を諦めることは出来なかった。
私は無意識にストーカー行為に及んでいた。
奥さんにもいやがらせをした。
最終的に、私は彼を刺し殺そうとしてしまった。
もちろん、私もその後、彼の後を追うつもりだった。
彼は、そのことで私の想いが本物だとわかったのだろう。
一年に一日だけ、私の夫になることを約束してくれた。
しょっちゅうは会えないが、その日だけは妻のことを忘れて、私だけを愛すると約束してくれた。
そんな約束は、早くももう11年になった。
つまり、私は11も年を取ったということだ。
このところ、この約束を守るのがきつく思えて来た。
こんなに彼のことを愛してるのに、たったの一日しか会えないなんて…
彼の妻への憎しみがどんどん募る。
この先も押さえられるだろうか?
妻を殺したい衝動を…
12回目がどうなるかはわからない。
無事に過ごせるのか、過ごせないのか…
まだ彼の余韻が残るベッドに腰かけ、一年後のその日に想いを馳せた。
よし、これでOK。」
テーブルの上には、真っ赤ないちごが目を引くケーキ。
私は、ケーキの上に11本のろうそくを丸く並べた。
季節の花やご馳走も準備した。
彼の好きなハンバーグとからあげとお肉たっぷりのコロッケ…
茶色ばっかりなのが、少し気になるけど、彼の好きなものだから仕方がない。
後は彼が帰って来るのを待つばかり。
柱時計に目を遣る。
あと少しで彼は帰って来るはずだ。
そんなことを考えるだけで胸が弾む。
玄関のチャイムが鳴った。
私はまるで子犬のように、玄関に向かって走って行った。
*
「どう?美味しい?」
「あぁ、うまいよ。美鈴は本当に料理がうまいな。」
ほめられて、私はますます嬉しくなる。
私にしっぽがあったら、きっと千切れるほど振ってるだろう。
二人で食事をして、お酒を飲んで…
そして、激しく愛し合って…
私は、幸せを噛み締める。
*
「う…ん…」
差し込む眩しい光に、私は開きかけた目を閉じた。
この瞬間が一番嫌い。
幸せの魔法が切れる時だから。
「じゃあ、また来年ね。」
「……うん。」
「愛してるよ、美鈴。」
その言葉が本心なのかどうかはわからない。
彼は、私が怖くてそんなことを言ってるのかもしれない。
彼と知り合った時、私は運命の人だと直感した。
だけど、彼にはすでに奥さんがいた。
それでも、私は彼を諦めることは出来なかった。
私は無意識にストーカー行為に及んでいた。
奥さんにもいやがらせをした。
最終的に、私は彼を刺し殺そうとしてしまった。
もちろん、私もその後、彼の後を追うつもりだった。
彼は、そのことで私の想いが本物だとわかったのだろう。
一年に一日だけ、私の夫になることを約束してくれた。
しょっちゅうは会えないが、その日だけは妻のことを忘れて、私だけを愛すると約束してくれた。
そんな約束は、早くももう11年になった。
つまり、私は11も年を取ったということだ。
このところ、この約束を守るのがきつく思えて来た。
こんなに彼のことを愛してるのに、たったの一日しか会えないなんて…
彼の妻への憎しみがどんどん募る。
この先も押さえられるだろうか?
妻を殺したい衝動を…
12回目がどうなるかはわからない。
無事に過ごせるのか、過ごせないのか…
まだ彼の余韻が残るベッドに腰かけ、一年後のその日に想いを馳せた。
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