あれこれ短編集2

ルカ(聖夜月ルカ)

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ほかほか

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それから数日後、私は学校に忘れ物をして、それを取りに再び、学校に戻った。
お手伝いさんに頼めば良いのかもしれないけれど、忘れたのがお友達との交換日記だから、自分で取りに行った。
運転手の荻野さんは、ちょうどお祖母様の御用で不在だったから、久しぶりに徒歩で向かった。



いつもは車で送り迎えしてもらってるから、歩いて学校まで行くなんて、とても久しぶりのことだった。
頬を撫でる秋風が気持ち良い。
日記帳は机の中にあった。
ほっとして、家路についていた時、私は運命の出会いをしてしまった。



ピーという甲高い音と共に響き渡る「い~しや~きいも~」の声…
私が夢にまで見たあの販売車が、ゆっくりとしたスピードで私に近付いてくる。



高鳴る鼓動…口の中はカラカラで、なんだか目眩までしてきた。
今、ここで声をかければ、私は焼き芋を買うことが出来る。
諦めたはずなのに…
いや、諦めなければいけないのに、私の欲望は山よりも大きく膨らんで…



販売車が近付いてくる。



あぁ、私はどうすれば…



あと1m。
運転する男性の顔がはっきり見える程だ。
早く決めなきゃ!早く!



ついに、販売車に手が届く距離に来た。
今声をかけないと、販売車は行ってしまう!
きっと、これが最初で最後のチャンスだ。



「お、おいも下さい!!」

私は力を振り絞り、そう叫んだ。



「はいよ。」

販売車は止まり、男性が出て来た。



「いかほど?」

「い、今、手持ちがあまりありませんので、これで買えるだけ下さい。」

私は財布に入っていた10万を差し出した。



「いや、こんなにいりませんよ。じゃあ、1枚だけ。」







「とても懐かしい味だわ。」

「美味しいわね。」



焼き芋を買って帰っても、誰も私をなじらなかった。
庶民の食べ物を買うなんてダメなことだと思っていたのは、私の勘違いだったみたい。
でも、お友達も焼き芋を買うのは恥ずかしいと言っていたのに。



焼きたての焼き芋は甘くて本当に美味しかった。



「綾香、秋の味覚をどうもありがとう。」

お祖母様の言葉に、私の心はほっこりと温まった。
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