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「では、行って参ります。」

「気をつけてね。」

「何かあったら、すぐに電話をするんだよ。」

土曜日になり、私は三人に見送られながら、家を出ました。
とても気持ちの良いお天気です。



(大丈夫。きっとうまく出来ますわ。)



私は待ち合わせの場所に向かいました。
歩いて10分程のファミレス前です。
ここへは何度か来たことがありましたから、迷うことはありません。



ファミレスに着いて程なくして、駐車場からクラクションが鳴りました。
車の窓から顔を出し、手を振るのは小林さんでした。
俄かに緊張が高まりましたが、私は平静を装い、車に近寄って行きました。



「こんにちは。」

「こんにちは。来てくれてどうもありがとう。さぁ、どうぞ。」

小林さんが助手席のドアを開けてくれました。



「失礼します。」

私は小林さんの隣に座りました。
ただそれだけで、ドキドキしてしまいます。



「本当に久しぶりですね。
でも、元気そうで良かった。」

「お久しぶりです。」

「以前、三辺さんが、内山さんを病院で見掛けたって言っててね。
その時の内山さんはずいぶん痩せてたって聞いてたから、心配してたんです。」

あの時よりは、さらに体重が増えています。
小林さんに心配をかけることにならなくて良かったと思いました。
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