10 / 24
誤算
10
しおりを挟む
「ジュリアン、じゃ、親方に紹介しよう。」
炭坑に着くなり、ネイサンはジュリアンにそう言った。
「あ…それなんだが…親方に会うのはもう少し待ってくれ。
ちょっと見学させてもらうよ。
で、様子をみて続けられそうかどうか考えてみるから…
じゃないと、雇ってもらったのは良いがすぐにやめたりしちゃあ申し訳ないからな。」
「そうか…石を掘ってたあんたならやれる仕事だと思うが…けっこう慎重なんだな。
じゃあ、俺は仕事があるからまた昼食の時にでもな。」
「あぁ、いろいろありがとうな!」
ジュリアンは、ネイサンに手を振り、その後こっそりと彼の後をつけた。
物陰からネイサンの姿を見ながら、ジュリアンは彼の様子を窺っていた。
「確か、今日の仕事は午前中で終わるんだったな。
そしたら、ネイサンはかみさんに渡す石を掘りに行くと言い出すはずだ…
なんとかしてそれを食い止めれば、ネイサンは被害にはあわねぇ。」
『奴を引き留めるくらいなら、なんとでもなるだろう。』
「そうだな。
あ…そうだ!!
この石をネイサンにやろう!
そしたら、もう鉱山に行く必要なくなるもんな!」
ジュリアンは、あの日、もう少しでネイサンが手にするはずだったアメジストをポケットから取り出した。
「……地震がなかったら…きっと、ネイサンは自分の手でこの石を掘り出してたに違いない…
だから、これはネイサンの石なんだ。」
『妻に贈る石だから自分で掘るって言い出すんじゃないか?』
「任せとけよ。そのあたりは俺がうまいこと言うから。」
『そうだな。おまえは頭は良くないくせに、時折、詐欺師並みにうまい口実を思い付くことがあるからな。』
「誰が詐欺師なんだ!
そもそも、詐欺師っていうのは相手をだまくらかして金品を巻き上げるんだぞ!
俺は助けるために嘘を吐くんだから、全然、違うぞ!」
『詐欺師と言ってはおらん。
詐欺師並みに…と、言ったのだ。
人の話はよく聞け!』
「ちっ、いつもそんな屁理屈ばっかり。」
ジュリアンとエレスが、喧嘩交じりにくだらないことを話しているうちに、ネイサンの動きに変化があった。
ジュリアンには、それは責任者らしき男が皆を集め何事かの指示を出しているように見えた。
「きっと仕事が終わりだって話だな。」
ジュリアンの推測通り、男達は片付けを始め、やがてぞろぞろと宿舎の方へ戻り始めた。
「やっぱりだ!」
ジュリアンは、宿舎の方に先回りをして、何気ない素振りでネイサンを待ち構えた。
炭坑に着くなり、ネイサンはジュリアンにそう言った。
「あ…それなんだが…親方に会うのはもう少し待ってくれ。
ちょっと見学させてもらうよ。
で、様子をみて続けられそうかどうか考えてみるから…
じゃないと、雇ってもらったのは良いがすぐにやめたりしちゃあ申し訳ないからな。」
「そうか…石を掘ってたあんたならやれる仕事だと思うが…けっこう慎重なんだな。
じゃあ、俺は仕事があるからまた昼食の時にでもな。」
「あぁ、いろいろありがとうな!」
ジュリアンは、ネイサンに手を振り、その後こっそりと彼の後をつけた。
物陰からネイサンの姿を見ながら、ジュリアンは彼の様子を窺っていた。
「確か、今日の仕事は午前中で終わるんだったな。
そしたら、ネイサンはかみさんに渡す石を掘りに行くと言い出すはずだ…
なんとかしてそれを食い止めれば、ネイサンは被害にはあわねぇ。」
『奴を引き留めるくらいなら、なんとでもなるだろう。』
「そうだな。
あ…そうだ!!
この石をネイサンにやろう!
そしたら、もう鉱山に行く必要なくなるもんな!」
ジュリアンは、あの日、もう少しでネイサンが手にするはずだったアメジストをポケットから取り出した。
「……地震がなかったら…きっと、ネイサンは自分の手でこの石を掘り出してたに違いない…
だから、これはネイサンの石なんだ。」
『妻に贈る石だから自分で掘るって言い出すんじゃないか?』
「任せとけよ。そのあたりは俺がうまいこと言うから。」
『そうだな。おまえは頭は良くないくせに、時折、詐欺師並みにうまい口実を思い付くことがあるからな。』
「誰が詐欺師なんだ!
そもそも、詐欺師っていうのは相手をだまくらかして金品を巻き上げるんだぞ!
俺は助けるために嘘を吐くんだから、全然、違うぞ!」
『詐欺師と言ってはおらん。
詐欺師並みに…と、言ったのだ。
人の話はよく聞け!』
「ちっ、いつもそんな屁理屈ばっかり。」
ジュリアンとエレスが、喧嘩交じりにくだらないことを話しているうちに、ネイサンの動きに変化があった。
ジュリアンには、それは責任者らしき男が皆を集め何事かの指示を出しているように見えた。
「きっと仕事が終わりだって話だな。」
ジュリアンの推測通り、男達は片付けを始め、やがてぞろぞろと宿舎の方へ戻り始めた。
「やっぱりだ!」
ジュリアンは、宿舎の方に先回りをして、何気ない素振りでネイサンを待ち構えた。
0
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
レオナルド先生創世記
ポルネス・フリューゲル
ファンタジー
ビッグバーンを皮切りに宇宙が誕生し、やがて展開された宇宙の背景をユーモアたっぷりにとてもこっけいなジャック・レオナルド氏のサプライズの幕開け、幕開け!
敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される
clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。
状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。
春の雨はあたたかいー家出JKがオッサンの嫁になって女子大生になるまでのお話
登夢
恋愛
春の雨の夜に出会った訳あり家出JKと真面目な独身サラリーマンの1年間の同居生活を綴ったラブストーリーです。私は家出JKで春の雨の日の夜に駅前にいたところオッサンに拾われて家に連れ帰ってもらった。家出の訳を聞いたオッサンは、自分と同じに境遇に同情して私を同居させてくれた。同居の代わりに私は家事を引き受けることにしたが、真面目なオッサンは私を抱こうとしなかった。18歳になったときオッサンにプロポーズされる。
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる