天使からの贈り物・誤算

ルカ(聖夜月ルカ)

文字の大きさ
14 / 24
誤算

14

しおりを挟む
* 




「すっかり長居しちまって申し訳ないことをしたな。」

『まぁ、良いんじゃないか?
今夜は嬉しい酒だったのだし、ネイサンも飲んで騒ぎたかったんだろうな。』

「……そうかもしれないな。
しかし、本当に良かったよ。
あのままだったら、ネイサンの子供は父親の顔を知らずに育つことになるとこだったんだもんな。」

『おまえがネイサンに言った嘘のアメジストの言い伝えが本当になってしまうとは…
面白いものだな。』

「確かにな。
まさか、俺もこんなことが起きるなんて思っちゃなかったよ。
結婚して5年経っても出来なかった子供ががたまたまこのタイミングで出来たなんて、不思議なもんだよな。
とにかく、これでやっと俺も安心して眠れるよ。
だけど、あの鉱山は土砂に埋まっちまったことだし、この町にいる必要はなくなっちまったな。」

『では、どうする?
明日経つか?』

「別に明日でなくても構わないが、近々、発つことにするかな。」

『そうか…やはりそうなるのだな…』

「……エレス…どうかしたのか?」

『……別に…
そんなことより、早く寝たらどうなんだ?
ただでさえ、おまえは寝坊なんだからな。』

「言われなくても、もう瞼がくっつき始めてるさ。
じゃあな、おまえも早く寝ろよ…ってのもおかしな話か…」

ジュリアンは、ベッドに横になるなり、静かな寝息を立て始めた。



(寝起きは悪いが、寝付きの良さは天下一品だな…)


エレスは無邪気な顔で眠るジュリアンに目を落とした。
口には出さなかったが、実は、エレスの心の中にはひっかかるものがあった。
いつもとは違う事への妙な胸騒ぎ…
ジュリアンが時を遡り、彼に関わった者を救った後にはいつも嬉しい変化が起きていた。
エレスは今回もまたいつもと同じようにそれが起きるものと思っていたのだが、今回に限り、それがなかったのだ。



(なぜだ…?
なぜ、今回だけは違うのだ?)



それが何を意味するのか…それとも、今までの出来事が、むしろ、偶然起こったことだったのか…
その答えはエレスにはまだわかってはいなかった。
そして、すやすやと眠るジュリアンは、エレスがこんな心配を抱えていることさえ気付いてはいない。

 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

父が再婚しました

Ruhuna
ファンタジー
母が亡くなって1ヶ月後に 父が再婚しました

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

三十年後に届いた白い手紙

RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。 彼は最後まで、何も語らなかった。 その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。 戴冠舞踏会の夜。 公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。 それは復讐でも、告発でもない。 三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、 「渡されなかった約束」のための手紙だった。 沈黙のまま命を捨てた男と、 三十年、ただ待ち続けた女。 そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。 これは、 遅れて届いた手紙が、 人生と運命を静かに書き換えていく物語。

愛していました。待っていました。でもさようなら。

彩柚月
ファンタジー
魔の森を挟んだ先の大きい街に出稼ぎに行った夫。待てども待てども帰らない夫を探しに妻は魔の森に脚を踏み入れた。 やっと辿り着いた先で見たあなたは、幸せそうでした。

「がっかりです」——その一言で終わる夫婦が、王宮にはある

柴田はつみ
恋愛
妃の席を踏みにじったのは令嬢——けれど妃の心を折ったのは、夫のたった一言だった 王太子妃リディアの唯一の安らぎは、王太子アーヴィンと交わす午後の茶会。だが新しく王宮に出入りする伯爵令嬢ミレーユは、妃の席に先に座り、殿下を私的に呼び、距離感のない振る舞いを重ねる。 リディアは王宮の礼節としてその場で正す——正しいはずだった。けれど夫は「リディア、そこまで言わなくても……」と、妃を止めた。 「わかりました。あなたには、がっかりです」 微笑んで去ったその日から、夫婦の茶会は終わる。沈黙の王宮で、言葉を失った王太子は、初めて“追う”ことを選ぶが——遅すぎた。

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

私を幽閉した王子がこちらを気にしているのはなぜですか?

水谷繭
恋愛
婚約者である王太子リュシアンから日々疎まれながら過ごしてきたジスレーヌ。ある日のお茶会で、リュシアンが何者かに毒を盛られ倒れてしまう。 日ごろからジスレーヌをよく思っていなかった令嬢たちは、揃ってジスレーヌが毒を入れるところを見たと証言。令嬢たちの嘘を信じたリュシアンは、ジスレーヌを「裁きの家」というお屋敷に幽閉するよう指示する。 そこは二十年前に魔女と呼ばれた女が幽閉されて死んだ、いわくつきの屋敷だった。何とか幽閉期間を耐えようと怯えながら過ごすジスレーヌ。 一方、ジスレーヌを閉じ込めた張本人の王子はジスレーヌを気にしているようで……。 ◇小説家になろう、ベリーズカフェにも掲載中です! ◆表紙はGilry Drop様からお借りした画像を加工して使用しています

処理中です...