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「おはよう。」

「え……!?」



私は寝ぼけてて、一瞬、パニックになりかけた。
今、家だと思い込んで、どうして東條さんがここにいるの!?って。



そして、やっと頭がクリアになって、今の状況が理解出来た。
あれ?でも、東條さんはもう着替えてちゃんとしてるけど…



「わっ!」



ガウンがはだけていることに気付いて、私は、慌てて毛布を引きあげた。
そんな私を見て、東條さんはくすくす笑う。



「出発までにそんなに時間が無いから、早めにね。」

そう言い残して、東條さんは部屋を出ていった。



もうっ!恥ずかしい!
私は慌てて身支度を整えた。







「良い天気で良かったね。」

「そうですね。」

新しいスタートにはこれ以上ない程の澄み切った青い空。
お天気が良いのは、それだけでなんだか気分が良いよね。



新幹線での移動。
考えてみれば、新幹線に乗るのも久しぶりだ。
そういえば、最近は旅行もあんまり行ってなかったな。
去年行ったのは、近場だったから、新幹線は乗らなかったし。



だから、移動だけなのに、なんだか新鮮。
子供みたいにワクワクしてしまう。



昨夜のことがあるからちょっと照れくさいけど…
東條さんは、全くいつも通り。
あんなこと、東條さんにとってはなんでもないことなんだよね。
そう思うと、ちょっと寂しいけど。
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