21 / 25
決意
21
しおりを挟む
「お、おいっ!一体、どうしたってんだ?」
ディックは石を胸に抱いて、涙を流し続けた。
「ディック…大丈夫か?」
「母さんだ…母さんが僕を心配して来てくれたんだ…」
「おふくろさんが?」
ディックはゆっくりと頷いた。
「僕の母さんはいつも緑色の石がついたペンダントをしてた。
それは父さんが母さんに贈ったものだそうで、母さんの誕生石だと言ってたよ。
母さんはそのペンダントをとても大切にしてたんだ。
だけど、ある時、どうしても薬代が足りなくなってそのペンダントを手放すことになったんだ。
僕はそれがエメラルドだと思ってたからきっと良い値段になると思ってたら、道具屋でその石はペリドットだというものだと言われたんだ。
だから、思った程の金にはならなかったけど、そう高い石じゃないとわかったから、いつか僕がまた母さんにその石を買ってあげようと思ってたんだ。
……結局、買ってあげる事は出来なかったけどね…」
ディックは、一気に話し終えると哀し気な笑みを浮かべる。
「そうか…そうだったのか。
きっとおまえの言う通りだ。
おまえのおふくろさんが、おまえのことを心配して来てくれたんだ。
おふくろさんは、いつでもおまえのことを見守っててくれるんだな。」
「ありがとう…本当にありがとう…」
ディックは、ジュリアンの手を取り、ぎゅっと握り締めた。
「お、おい、こらっ!もう泣くなよ。
ハンカチがびしょびしょじゃないか!」
「ありがとう…ありがとう…!」
仕舞いにはジュリアンに抱きついて涙を流すディックの細い身体を、彼の涙が止まるまでジュリアンは抱き締めていた。
*
「お、おまえ、どっから入ったんだ!?」
朝になり、昨夜、椅子の上で眠りこけていた男が、留置所の中のジュリアンを見て声を上げた。
「え…?……あぁ~~、あんた、忘れたのか?
昨夜、ディックに会わせてくれって頼んだら、あんたが入れてくれたんじゃないか!」
「えっ?俺が??」
男は首を傾げる。
「あんた、やっぱり相当酔っ払ってたんだな。
そうじゃなきゃ、覚えてないはずがない。」
「い…いや、覚えてる。
俺は寝酒程度にほんのちょっとしか飲んでないんだから。
……そ、そうだ!今、思い出した!俺があんたを入れてやったんだ。
俺は朝に弱いから、ど忘れしてただけなんだ!」
「そうだったのか。
じゃあ、開けて出してくれ。」
「おう…あれっ?
鍵がないぞ!?」
「ほら、そこにあるじゃないか。」
ジュリアンは、壁際に落ちている鍵を指差した。
ディックは石を胸に抱いて、涙を流し続けた。
「ディック…大丈夫か?」
「母さんだ…母さんが僕を心配して来てくれたんだ…」
「おふくろさんが?」
ディックはゆっくりと頷いた。
「僕の母さんはいつも緑色の石がついたペンダントをしてた。
それは父さんが母さんに贈ったものだそうで、母さんの誕生石だと言ってたよ。
母さんはそのペンダントをとても大切にしてたんだ。
だけど、ある時、どうしても薬代が足りなくなってそのペンダントを手放すことになったんだ。
僕はそれがエメラルドだと思ってたからきっと良い値段になると思ってたら、道具屋でその石はペリドットだというものだと言われたんだ。
だから、思った程の金にはならなかったけど、そう高い石じゃないとわかったから、いつか僕がまた母さんにその石を買ってあげようと思ってたんだ。
……結局、買ってあげる事は出来なかったけどね…」
ディックは、一気に話し終えると哀し気な笑みを浮かべる。
「そうか…そうだったのか。
きっとおまえの言う通りだ。
おまえのおふくろさんが、おまえのことを心配して来てくれたんだ。
おふくろさんは、いつでもおまえのことを見守っててくれるんだな。」
「ありがとう…本当にありがとう…」
ディックは、ジュリアンの手を取り、ぎゅっと握り締めた。
「お、おい、こらっ!もう泣くなよ。
ハンカチがびしょびしょじゃないか!」
「ありがとう…ありがとう…!」
仕舞いにはジュリアンに抱きついて涙を流すディックの細い身体を、彼の涙が止まるまでジュリアンは抱き締めていた。
*
「お、おまえ、どっから入ったんだ!?」
朝になり、昨夜、椅子の上で眠りこけていた男が、留置所の中のジュリアンを見て声を上げた。
「え…?……あぁ~~、あんた、忘れたのか?
昨夜、ディックに会わせてくれって頼んだら、あんたが入れてくれたんじゃないか!」
「えっ?俺が??」
男は首を傾げる。
「あんた、やっぱり相当酔っ払ってたんだな。
そうじゃなきゃ、覚えてないはずがない。」
「い…いや、覚えてる。
俺は寝酒程度にほんのちょっとしか飲んでないんだから。
……そ、そうだ!今、思い出した!俺があんたを入れてやったんだ。
俺は朝に弱いから、ど忘れしてただけなんだ!」
「そうだったのか。
じゃあ、開けて出してくれ。」
「おう…あれっ?
鍵がないぞ!?」
「ほら、そこにあるじゃないか。」
ジュリアンは、壁際に落ちている鍵を指差した。
0
あなたにおすすめの小説
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
ちゃんと忠告をしましたよ?
柚木ゆず
ファンタジー
ある日の、放課後のことでした。王立リザエンドワール学院に籍を置く私フィーナは、生徒会長を務められているジュリアルス侯爵令嬢アゼット様に呼び出されました。
「生徒会の仲間である貴方様に、婚約祝いをお渡したくてこうしておりますの」
アゼット様はそのように仰られていますが、そちらは嘘ですよね? 私は最愛の方に護っていただいているので、貴方様に悪意があると気付けるのですよ。
アゼット様。まだ間に合います。
今なら、引き返せますよ?
※現在体調の影響により、感想欄を一時的に閉じさせていただいております。
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
【完結】あなたに知られたくなかった
ここ
ファンタジー
セレナの幸せな生活はあっという間に消え去った。新しい継母と異母妹によって。
5歳まで令嬢として生きてきたセレナは6歳の今は、小さな手足で必死に下女見習いをしている。もう自分が令嬢だということは忘れていた。
そんなセレナに起きた奇跡とは?
もしかして寝てる間にざまぁしました?
ぴぴみ
ファンタジー
令嬢アリアは気が弱く、何をされても言い返せない。
内気な性格が邪魔をして本来の能力を活かせていなかった。
しかし、ある時から状況は一変する。彼女を馬鹿にし嘲笑っていた人間が怯えたように見てくるのだ。
私、寝てる間に何かしました?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる