天使からの贈り物・決意

ルカ(聖夜月ルカ)

文字の大きさ
23 / 25
決意

23

しおりを挟む
「ぼ、僕は、本当にそんなことしてないのに……」

「ディック、おまえ、わからないのか!
誰がそんなことをしたのか…おまえのためにそんなことをする奴は一人しかいねぇじゃないか!」

ディックにはそれが誰だかわかったらしく、口を開け両手で頭を抱えた。



「ラリー…」

「そうに違いねぇ…奴は、おまえと疎遠にはなっても、ずっとおまえのことを考えてたんだな…」

「なんてことだ…僕はそんなことにも気付かずに…」



「ディック、そろそろ出発するぞ。」

自警団の男が檻を開け、ディックの腕を荒縄で縛る。



「ディック、身体に気を付けてな!」

「ありがとう…あ、そうだ、あんたの名前は?」

「俺はジュリアンっていうんだ。」

「ジュリアン、本当にいろいろありがとう。
あんたのおかげで僕は救われたよ。」

「俺はなにもしてないさ。
あんたのおふくろさんやラリー達のおかげさ。」

ディックは、自警団の男二人に伴なわれ馬車に乗りこみ、ライナスとジュリアンは、詰所の前でそれを見送った。



「あ…ラリーだ…」

ライナスの指差す先には、駆けて来るラリーの姿があった。



「ラリー!
ディックは今行った!
あの馬車だ!」

ジュリアンは馬車の走り去った方を指差しながら大きな声で叫んだ。
ラリーは頷き、方向を変えると馬車の跡を追って駆け出した。



「ディーーーーーッック!!」

ラリーはディックの名を呼びながら走り続ける。



「ん……?」

声に気付いた自警団の男が窓から顔を出す。



「あれはラリーじゃないか…」

「ラリーが…!?」

「馬車を止めるか?
少しだけなら…」

「いや…止めないでくれ。
僕は……ラリーにあわせる顔がない…」

「しかし…良いのか?
この機を逃したら当分会えなくなるぜ。」

ディックは黙ったままで頷いた。



「そうか、わかった…」

馬車は速度を緩める事なく走り続ける…
その後を追うラリーの息は切れ次第に速度が落ち、やがて、彼はその場に座りこんだ。
軽く息を整えたラリーは、すべての体力をこめて大きな声で叫んだ。


「ディックーーーー!
待ってるからなーーーーー!」



その声は離れて行く馬車の中のディックの耳にしっかりと届いた…
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

父が再婚しました

Ruhuna
ファンタジー
母が亡くなって1ヶ月後に 父が再婚しました

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

令嬢失格な私なので

あんど もあ
ファンタジー
貴族の令息令嬢が学ぶ王都学園。 そこのカースト最下位と思われている寮生の中でも、最も令嬢らしからぬディアナ。 しかしその正体は……。

ちゃんと忠告をしましたよ?

柚木ゆず
ファンタジー
 ある日の、放課後のことでした。王立リザエンドワール学院に籍を置く私フィーナは、生徒会長を務められているジュリアルス侯爵令嬢アゼット様に呼び出されました。 「生徒会の仲間である貴方様に、婚約祝いをお渡したくてこうしておりますの」  アゼット様はそのように仰られていますが、そちらは嘘ですよね? 私は最愛の方に護っていただいているので、貴方様に悪意があると気付けるのですよ。  アゼット様。まだ間に合います。  今なら、引き返せますよ? ※現在体調の影響により、感想欄を一時的に閉じさせていただいております。

今更……助けてくれと……言われても……

#Daki-Makura
ファンタジー
出奔した息子から手紙が届いた…… 今更……助けてくれと……言われても……

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

【完結】あなたに知られたくなかった

ここ
ファンタジー
セレナの幸せな生活はあっという間に消え去った。新しい継母と異母妹によって。 5歳まで令嬢として生きてきたセレナは6歳の今は、小さな手足で必死に下女見習いをしている。もう自分が令嬢だということは忘れていた。 そんなセレナに起きた奇跡とは?

もしかして寝てる間にざまぁしました?

ぴぴみ
ファンタジー
令嬢アリアは気が弱く、何をされても言い返せない。 内気な性格が邪魔をして本来の能力を活かせていなかった。 しかし、ある時から状況は一変する。彼女を馬鹿にし嘲笑っていた人間が怯えたように見てくるのだ。 私、寝てる間に何かしました?

処理中です...