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side 優一
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「おかしいという程ではないと思いますけど……」
「まぁ、確かにそうなんですが、どうももうひとつって気がするんです。」
「それはわかります。
多分、シンプルすぎるのと…この木の材質のせいかもしれませんね。」
「そうですよね。
僕ももう少し上等な木のものがほしいんですよ。」
次の日はさすがにこの前のようなことはなく、ごく平穏な時間となった。
今回は別の花瓶にしてはどうかと篠宮さんには言われたけれど、この前の花瓶をイメージしながら選んだ花だったので、やはりそれに活けることにした。
今回も篠宮さんは花のことをいろいろ教えてくれて、活ける時にもあれこれと的確なアドバイスをしてくれた。
今までもそれなりにバランス良く活けることは出来ていたと思うのだけど、この日活けたものはやはりいつもとはどこか違う。
うまく表現は出来ないけれど、各花の個性をより上手く引き出せているように感じられた。
僕が選んだのは、色の違う百合を二種類と赤い薔薇、そして桔梗とかすみ草という、割と大ぶりの花ばかりでしかも皆色の主張が強いものばかりだったけど、それらが本当にうまくまとまってまるで一枚の絵のように見えて、僕は思わず携帯で撮影してしまった程だった。
「堤さん……例えば、花瓶の下にレースの敷物を敷いたりするだけでも雰囲気は変わると思いますよ。」
「なるほど、そうですね。
でも、高さもどうもいまいちですよね。」
やはり、どう考えてもその棚は失敗だった。
近くの店で探してはいたものの、気に入るものはいまだにみつからない。
今回も、花は仏壇のある部屋に飾った。
先週のことを思い出すと恥ずかしいから、なるべく考えないようにして……
篠宮さんは、ここへ来る度、仏壇に手を合わせてくれる。
それは、ありがたいけど辛い瞬間だ。
母さんはきっと喜んでいるだろうけど……
そうだ……
僕がどう感じるかじゃなくて、母さん達がどう思うかってことが大切なことなんだ。
母さんは人と接することがすきだった。
だから、篠宮さんが来てくれることをきっと喜んでるはず。
(だったら、僕も喜ばなきゃね……)
「おかしいという程ではないと思いますけど……」
「まぁ、確かにそうなんですが、どうももうひとつって気がするんです。」
「それはわかります。
多分、シンプルすぎるのと…この木の材質のせいかもしれませんね。」
「そうですよね。
僕ももう少し上等な木のものがほしいんですよ。」
次の日はさすがにこの前のようなことはなく、ごく平穏な時間となった。
今回は別の花瓶にしてはどうかと篠宮さんには言われたけれど、この前の花瓶をイメージしながら選んだ花だったので、やはりそれに活けることにした。
今回も篠宮さんは花のことをいろいろ教えてくれて、活ける時にもあれこれと的確なアドバイスをしてくれた。
今までもそれなりにバランス良く活けることは出来ていたと思うのだけど、この日活けたものはやはりいつもとはどこか違う。
うまく表現は出来ないけれど、各花の個性をより上手く引き出せているように感じられた。
僕が選んだのは、色の違う百合を二種類と赤い薔薇、そして桔梗とかすみ草という、割と大ぶりの花ばかりでしかも皆色の主張が強いものばかりだったけど、それらが本当にうまくまとまってまるで一枚の絵のように見えて、僕は思わず携帯で撮影してしまった程だった。
「堤さん……例えば、花瓶の下にレースの敷物を敷いたりするだけでも雰囲気は変わると思いますよ。」
「なるほど、そうですね。
でも、高さもどうもいまいちですよね。」
やはり、どう考えてもその棚は失敗だった。
近くの店で探してはいたものの、気に入るものはいまだにみつからない。
今回も、花は仏壇のある部屋に飾った。
先週のことを思い出すと恥ずかしいから、なるべく考えないようにして……
篠宮さんは、ここへ来る度、仏壇に手を合わせてくれる。
それは、ありがたいけど辛い瞬間だ。
母さんはきっと喜んでいるだろうけど……
そうだ……
僕がどう感じるかじゃなくて、母さん達がどう思うかってことが大切なことなんだ。
母さんは人と接することがすきだった。
だから、篠宮さんが来てくれることをきっと喜んでるはず。
(だったら、僕も喜ばなきゃね……)
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