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替え玉の王女

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「あ、あの……
私の両親のことを教えてもらえますか?
 育ての両親のことです。」

 「執事のマキシムと侍女のウェンディです。」



マキシムとウェンディ…
お父さんは内山正樹、お母さんは内山陽子…
本当の名前とは違い過ぎて、イメージが合わない。



 「二人は夫婦だったんですか?」

 「いえ…赤の他人です。」

 「では、私を育てるためだけに、夫婦でもないのに派遣されたということですか?」

サンドラさんは深く頷く。



とても、信じられない。
 二人はとても仲良くて…二人の間に愛情がないようには思えなかったから。
いやじゃなかっただろうか?
 好きでも何でもない人と、夫婦として…しかも、二人には家族もいたかもしれないし、どんな世界かもわからないところに飛ばされるなんて…
その時の両親の気持ちを考えると、酷く胸が痛んだ。



 「それは、国王様のお考えだったんですか?」

 「いえ…陛下はあなた方が双子でお生まれになったことをご存知ありません。」

 「えっ!?」

 「すべては二ルジェ様のお考えです。」

 「二ルジェ様の…」

 「二ルジェ様はあなた様を護ろうとされたんです。」

 「護る…?」

どういうことだろう?
 護るのなら、そんな手の込んだことをしなくても、他の国に連れて行くだけで十分じゃないだろうか?




 「たとえ、どんな遠くにお連れしたとしても、この世界にいれば見つかる可能性は皆無とは言えません。
 二ルジェ様は、絶対にあなた様を護りたかったのです。
あなた様にどんなに小さな害も起きないように…その一心で、あなた様を異界に送られたのです。」

まるで、私の気持ちを読んだかのように、サンドラさんはそう話した。



 『どんなに小さな害も起きないように…』



その言葉に、私は胸が熱くなった。
 私は、本当の母に捨てられたのではない。
 愛されていたからこそ、異界に飛ばされたんだ…
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