上 下
147 / 258
side マリウス

しおりを挟む
「それはどういうことなんだ!?
なぜ、サキが女王の部屋に?」

 「フェルナン...以前、話したことがあったよな。サキの腕輪のこと...」

 「あぁ、覚えてる。
だが、腕輪と今回の件にどんな関わりが?」

 「それは俺にもまだわからない。
でも、もし、サキが高貴な生まれの者だったとしたら...王女と知り合いでも不思議はない。」

フェルナンは一瞬驚いたような顔をしたが、その後、小さく頷いた。



 「確かにそうだな。」

 「王女に聞いたら、サキの行方がわかるかもしれない。
もしかしたら、王女の静養について行ってるのかもしれないし。」

 「そうだな。もしも、王女とサキが親しい関係なら、有り得るかもしれないな。
あ、じゃあ、親衛隊がサキを探していたのは?」

 「サキは記憶を無くしたと言っていた。
たとえば、王女に何か頼まれてどこかに出かけた時に、なんらかの出来事があって記憶を失い、なかなか戻らないサキを心配した王女が探していたとか...」

 「確かにそれなら辻褄は合うな...」



そう、それはただ辻褄が合うだけの単なる推測に過ぎない。
 本当のことはまだ何もわからない。
これ以上のことは、調べる手立てさえ何も思いつかない。



 「とにかく、今は王女の帰還を待つしかないだろう。」

 「……そうだな。」

フェルナンが納得してくれたことで、俺は心の重しがほんの少し軽くなるのを感じていた。
しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

→1分のショートストーリー

大衆娯楽 / 連載中 24h.ポイント:597pt お気に入り:15

言いたいことはそれだけですか。では始めましょう

恋愛 / 完結 24h.ポイント:2,643pt お気に入り:3,568

その実を食べろ!〜全ての望みを叶えるスキルの実。

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:7pt お気に入り:432

好きになって貰う努力、やめました。

恋愛 / 完結 24h.ポイント:4,190pt お気に入り:2,186

処理中です...