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王女と王と宰相と

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「シャルア王女様、本日はお時間を割いていただき、感謝致します。
ご静養後、お体の調子はいかがですか?」

マリウスさんは、寝台の傍に跪き、私に声をかけた。



 「ありがとうございます。
お陰様で、ずいぶんと良くなりました。」

 「それはようございました。
 今日は、王女様におたずねしたいことがあって参りました。
こちらは、我が国の宰相のフェルナンです。」



マリウスさんの言葉を聞いて、私は思わず声を上げそうになるのを懸命に堪えた。



 今、確かに『フェルナン』って言ったよね…
私は、カーテンの向こう側を見ようとしたけれど…
マリウスさんの後ろにもう一人いて、金髪なのは何となく見えたけど、顔ははっきりとは見えなかった。



でも…なぜ?どうして?
フェルナンさんとは別れたはずなのに、どうしてマリウスさんと一緒にいるの?
 驚きと焦りで、鼓動がどんどん速くなる。



 「どうぞ、こちらにおかけください。
ところで、マリウス様…シャルア王女におたずねになりたいというのはどんなことですか?」

サンドラさんが、マリウスさんに問い掛けた。



 「はい、実は、サキという者のことをお聞きしたかったのです。
 以前、お会いした時、ここにいた者です。
 私と同行していた時は記憶をなくしていたのですが、ここに来て記憶を取り戻し、自分はこの城の侍女だと申しておりました。
ところが、私の探したところ、この城にサキという侍女はおらず、サキの行方はわからなくなっているのです。」

 冷汗がどっと噴き出した。
どうしよう?
なんて返事をすれば良い?
マリウスさんが私を探しているなんて…しかも、フェルナンさんも一緒だなんて…
私は完全にパニックに陥っていた。

 
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