Gift

002. 囚われた娘

１

「離せ！離せと言ってるだろうが！」

 縄をかけられ、両脇を兵士に抱えられながら、傷付いた戦士が牢に向かって引きずられて行く。



 「あれ？あの声は…あいつ、女なのか？」

その光景を遠巻きに見ていた兵士がぽつりと呟く。



 「そうだ。」

 「女の戦士とは珍しいな。」

 「おまえ……あいつを知らないのか？」

 「えっ！？有名人なのか？」

 「おまえ…それでもこの国の兵士か…」

 兵士は、呆れたように小さな溜息をこぼした。



 「だって、俺…
この国に住んでるとはいえ、田舎にいたんだし、首都に来てから、まだ一か月しか経ってないんだから。」

 「……そうだったな。
あいつは、フォーランド王国のリーガン将軍の娘・レイナだ。」

 「リ、リーガンだって！？
フォーランドの人喰い虎と呼ばれる、あのリーガン将軍か？」

 「あぁ…実の娘ではないらしいが、戦い方はリーガンそっくりだと言われている。」

 「へぇ…あれが、将軍の……」

 兵士は、小さくなっていくレイナの後ろ姿を、ただぼんやりとみつめた。