Gift

016. 嫉妬

３

「ものすごい剣だな。
そんな剣をぶら下げてたら、性質の悪い奴らに狙われないか？」

「いえいえ。こんなもの、たいしたもんじゃありませんから、誰も狙ったりしませんよ。」

そう言って、奴は笑った。
なんだ、こいつ、笑顔もすごくカッコイイじゃないか！
どう考えても、一緒に歩いてる俺はただの引きたて役だ。

でも、あんなことを言うってことは、あの宝石はガラス玉かなにかなのか？
そうだよな。
あれが全部本物だったら、おっそろしく高価なものになるはずだ。
歩いてるうちに一粒でも落としでもしたら、大変なことになりそうだ。
俺だったら宝石が気になっておちおち歩いてられやしない。



俺達は、一軒のレストランに入った。
小さな町だから、ここしか店はなさそうだ。



「さぁ、ルークさん、なんでもお好きなものを召しあがって下さい。」

「ほ、本当か？たくさん食べても大丈夫か？」

「ええ、どうぞ！どうぞ！」

やった！
ここんとこ、まともなものを食べていなかった俺は、なんでも言いからうまい肉料理を持って来るように頼んだ。

ランスロットはというと、手を組んでお祈りを捧げていたかと思うと、しずしずとシェリー酒を飲み始めた。
もしかしたら、やっぱりこいつはお金持ちのおぼっちゃまなのか？！


久しぶりの肉に動物のようにがっつく俺と比べて、奴はなんと品良く食べている事か。
こんな小さなレストランの食べ方にしてはとても不似合いだ。



「では、そろそろ行きますか？」

「行くってどこへ？」

「もちろん宿屋へですよ。」

「さっきも言ったが、俺は金が…」

「そのことなら、ご心配なく、さぁ、行きましょう！」

「おいおい！」


ランスロットは、俺の腕をひっぱって宿屋へ連れていった。




「あのな…宿賃まで出してもらって勝手なことを言うようで悪いんだけど…
その、俺は、けっこう寝つきが悪くてな。
なかなか眠れない性質なんだ。
だから、朝が来るまではどんなことがあっても起こさないでくれ。
途中で起こされたら眠れなくなるからな…絶対だぞ！どんなことがあってもだぞ！
部屋には絶対に来るなよ！」

「わかりました。」