Gift

ルカ(聖夜月ルカ)

文字の大きさ
137 / 697
022. 日常風景

しおりを挟む
「なぁ、水青、土曜日はどうする?
また、ファンラン行く?
それとも、別のとこが良い?」

ファンランとは、近くのテーマパーク「ファンタジックランド」のこと。
咲也は何かというとここに行きたがる。
奮発して年間フリーパスなんてものを買ってしまったからなのか、それとも、女の子はこういう可愛いキャラクターのいるテーマパークが好きだと思い込んでいるせいなのか…

私だって別に可愛いものが嫌いなわけじゃない。
だけど、アトラクション1つ見るのにも長い間並ばなくてはならない。
長い時間並んで、見るのはほんの数分…

まるで、病院みたい…

それに、早起きして広い敷地内をさんざん歩き回るのは、かなりの体力を消耗する。
それだけじゃなく、必要以上に楽しい振りをしなくてはならないのだからたまらない…


「あ!私、見たい映画があるんだ~!」

「映画か~…
どんなやつ?」

咲也があまり映画好きでないことはわかってる。

彼は、じっとしていることと黙っていることが苦手なのだ。
映画に行けば、その両方を強要される。
彼にとっては2時間弱の時間が拷問にも等しい時間に感じられるのかもしれない。

「いやなら別に良いんだけど…」

「いや、別にいやだって言ってるんじゃないけどさ…
あ!そうだ!
じゃあさ、DVDを借りて家で見るってのはどうだ?」

家なら動き回る事もしゃべることも映画館よりはまだ寛容だ。

「でも、土曜日だとご両親が…」

「大丈夫!今度の土曜は二人とも仕事だから。
ってか、いいかげん、親にも水青のこと紹介したいんだけど…」

「え~~っ!
恥ずかしいから良いよ~!」

「そんなこと言って…
本当は俺のこと、本気じゃないんじゃないだろうな…」

「咲也、考えすぎだってば!
私が人見知りなの、知ってるくせに…」

「まぁ、そりゃあ知ってるけどさ…
兄貴にもまだダメなのか?」

「兄さんねぇ…
うん、きっと、もう少し慣れたら大丈夫になると思う。」


咲也との交際は順調だった。
いや、それが順調と言えるのかどうかはよくわからないけど、とりあえず何1つトラブルがない。
口喧嘩一つすることがないのだから、やはり順調と言って良いのだと思う。 
 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

性別交換ノート

廣瀬純七
ファンタジー
性別を交換できるノートを手に入れた高校生の山本渚の物語

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

完全なる飼育

浅野浩二
恋愛
完全なる飼育です。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

初めまして婚約者様

まる
恋愛
「まあ!貴方が私の婚約者でしたのね!」 緊迫する場での明るいのんびりとした声。 その言葉を聞いてある一点に非難の視線が集中する。 ○○○○○○○○○○ ※物語の背景はふんわりしています。スルッと読んでいただければ幸いです。 目を止めて読んで下さった方、お気に入り、しおりの登録ありがとう御座いました!少しでも楽しんで読んでいただけたなら幸いです(^人^)

年に一度の旦那様

五十嵐
恋愛
愛人が二人もいるノアへ嫁いだレイチェルは、領地の外れにある小さな邸に追いやられるも幸せな毎日を過ごしていた。ところが、それがそろそろ夫であるノアの思惑で潰えようとして… しかし、ぞんざいな扱いをしてきたノアと夫婦になることを避けたいレイチェルは執事であるロイの力を借りてそれを回避しようと…

処理中です...