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025. 散歩
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*
「わっ!」
「何っ?」
ヨンヨンは、瞬きひとつするかしないかの間に、どこか知らない場所へ移動していた。
ヨンヨンがびっくりして声を上げたら、同じようにびっくりしたような顔の人間が、ヨンヨンのことをじっとみつめていた。
「えっと……」
人間は、相変わらずヨンヨンをみつめたまま、ぴくりとも動かない。
「……あの、もしかして、ボクのことが見えてる?」
「うん…はっきりと。
君はもしかして、妖精なの?」
「うん!ボク、妖精のヨンヨンって言うんだ。
君は?」
「僕は草間…草間和樹。」
「……草間草間和樹?」
ヨンヨンはそう言いながら、じっと草間の顔を見ていた。
「いや、そうじゃなくて、
…草間だけで良いよ。」
「草間は、ばあちゃんやセージと同じなんだね?」
「どういうこと?」
「ボクの姿は普通の人間には見えないんだって。
でも、たまに見える人間がいるんだ。
それが、ばあちゃんやセージ。
わらしちゃんも見えるけど、わらしちゃんは人間とはちょっと違うんだ。」
「そう、なんだ…」
ヨンヨンの言うことが、全部ではないにしろ、なんとなく草間には理解出来た。
そんなことよりも、目の前で忙しなく羽根を動かすヨンヨンを草間は素直に可愛いと感じた。
「ねぇ、草間…ここは都会?」
「えっ?あ、あぁ…そうだね。
大都会ってわけじゃあないけど、田舎とも違うね。
ヨンヨンは都会に行きたいの?」
「うん、ボクね…人間の友達を探してるんだ。
でも、田舎じゃ友達は増えないから、都会に行くことになって、セージが起きるまでちょっと散歩してたら、もやもやしたのがあって、そしたらボク、ここに来てたんだ。」
「……もやもや?」
ヨンヨンの居間の話を最初から思い出しながら、草間は、ヨンヨンの今の状況を推測した。
「ねぇ、ヨンヨン…もやもやってどういうの?」
「空にね、もやもやしたのがうにゃっとあってね。
それを触ろうとしたら、急に周りの景色が違っててね。
あ…どうしよう!?草間、セージのいる宿屋はどこかわかる?」
「えっ?」
「わっ!」
「何っ?」
ヨンヨンは、瞬きひとつするかしないかの間に、どこか知らない場所へ移動していた。
ヨンヨンがびっくりして声を上げたら、同じようにびっくりしたような顔の人間が、ヨンヨンのことをじっとみつめていた。
「えっと……」
人間は、相変わらずヨンヨンをみつめたまま、ぴくりとも動かない。
「……あの、もしかして、ボクのことが見えてる?」
「うん…はっきりと。
君はもしかして、妖精なの?」
「うん!ボク、妖精のヨンヨンって言うんだ。
君は?」
「僕は草間…草間和樹。」
「……草間草間和樹?」
ヨンヨンはそう言いながら、じっと草間の顔を見ていた。
「いや、そうじゃなくて、
…草間だけで良いよ。」
「草間は、ばあちゃんやセージと同じなんだね?」
「どういうこと?」
「ボクの姿は普通の人間には見えないんだって。
でも、たまに見える人間がいるんだ。
それが、ばあちゃんやセージ。
わらしちゃんも見えるけど、わらしちゃんは人間とはちょっと違うんだ。」
「そう、なんだ…」
ヨンヨンの言うことが、全部ではないにしろ、なんとなく草間には理解出来た。
そんなことよりも、目の前で忙しなく羽根を動かすヨンヨンを草間は素直に可愛いと感じた。
「ねぇ、草間…ここは都会?」
「えっ?あ、あぁ…そうだね。
大都会ってわけじゃあないけど、田舎とも違うね。
ヨンヨンは都会に行きたいの?」
「うん、ボクね…人間の友達を探してるんだ。
でも、田舎じゃ友達は増えないから、都会に行くことになって、セージが起きるまでちょっと散歩してたら、もやもやしたのがあって、そしたらボク、ここに来てたんだ。」
「……もやもや?」
ヨンヨンの居間の話を最初から思い出しながら、草間は、ヨンヨンの今の状況を推測した。
「ねぇ、ヨンヨン…もやもやってどういうの?」
「空にね、もやもやしたのがうにゃっとあってね。
それを触ろうとしたら、急に周りの景色が違っててね。
あ…どうしよう!?草間、セージのいる宿屋はどこかわかる?」
「えっ?」
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